2023 Fiscal Year Annual Research Report
非教科型テストによる知識の活用能力の評価に関する研究
Project/Area Number |
21K02849
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
椎名 久美子 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (20280539)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非教科型テスト / 認知診断モデル / 解答過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,大学入学者選抜を想定して,解答に必要な知識や情報を調べることが可能な状況で解くテストの開発に役立てるために,これまでに開発された非教科型テストの問題の構成要素や解答過程を分析して,知識の活用に重点をおいたテストに変更するための手がかりを得ることである。 これまでの研究で試作した非教科型の多枝選択式テストの問題に関して,問題文中で与えている知識や情報の種類,測定を意図した能力の整理を行った。また,大学の入学者選抜で実施される非教科型テストでどのような能力の測定が意図されているかを,募集要項等での説明を整理した結果,読解力,理解力,活用能力等が用いられる傾向が示された。 多枝選択式テストの解答データから受験者のスキルの習得状態を引き出すための分析手法として,認知診断モデルに関する情報収集を行った。そして,多枝選択式の空間テストの正誤データに認知診断モデルの一種であるG-DINAモデルを適用して,テストで測ろうとする能力を構成する3つのスキルと,それらのスキルと各問題項目との関係を記述するQ行列を作成した。各スキルの習得が各問題項目で正答する確率にどれくらい影響するかを表すG-DINAモデルのパラメータは良好なモデル適合率で推定され,多くの問題項目が受験者のスキル習得状態の判別に寄与していることが示された。これらは,非教科型テストの解答データから,各受験者のスキル習得状態に関する情報を引き出す可能性を示すものである。今後,各スキルがどう結びついて正答を導くのかについてG-DINA以外のモデルを適用したり,他の多枝選択式テストの解答データに認知診断モデルを適用したりすることで,知識を活用するために習得するべきスキルを絞り込む計画である。
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