2021 Fiscal Year Research-status Report
教員養成の声楽指導における自己調整学習を目指したルーブリックの開発と検証
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21K02863
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Research Institution | Shibata Gakuen University |
Principal Investigator |
諏訪 才子 柴田学園大学, 生活創生学部, 講師 (30760243)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 声楽実技 / ルーブリック / 自己調整学習 / 評価アンケート / レッスン記録 / テキスト / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、教員養成課程における、ルーブリックによる自己調整学習を目指した声楽の授業構築に向け、学生の自己評価による成績に注目し、ルーブリックを使用する授業と使用しない授業について比較・分析を行った。 ルーブリックは、大学教育における「主体的に考える力」、及び新学習指導要領の「3つの柱」と「主体的・対話的で深い学び」に着目して声楽実技用に作成した。さらに、このルーブリックの内容を細分化し、13項目の5段階評価の設問と自由記述からなる評価アンケートを作成した。調査データは、評価アンケートと学生自身のレッスン記録である。同じ課題曲・授業内容・回数の設定のもと、声楽実技のためのルーブリックとアンケートを使用した授業(2018年)の受講学生の比較対象をルーブリックとアンケートを使用しない授業(2019年、授業最終回のみ評価アンケートとレッスン記録を実施)の受講学生とした。 両年度の授業の最終回における、アンケート調査の項目13〈総合評価〉に対する5段階評価を3段階の成績としてまとめ、この成績と学生のレッスン記録の内容についてテキストマイニングし、ルーブリックの有無による学修状況、学修効果の違いを分析・検証した。 その結果、ルーブリックを使用する授業では、学生の授業最終回としての視点が、全学修過程の振り返り、ルーブリック上での最終到達度を評価するという学修のより深い部分に及んでいること、さらに学生は、課題に対する知識・スキルを向上させただけではなく、自己の学修の遂行状況を、主体的にPDCAサイクルを機能させ、確認、評価し、学修を進めていることが推測された。これより、ルーブリックを活用した教育方法は、自己調整による学修の要素が組み込まれており、声楽のスキルとともに自律的な学びのスキルの向上にも有効であると期待できる。現在、この分析結果をもとに、ルーブリックとアンケートの改良を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で、声楽の授業を少人数によるグループ学修を中心としたこと、さらに途中から遠隔授業に切り替えて行ったことにより、研究計画の一部を変更したため、当初の予定よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れはあるものの有益な結果が得られつつあるため、次年度以降につなげ研究を推進する。今後、声楽の一斉授業での声楽実技のためのルーブリックと評価アンケートを使用した実技指導の分析結果を反映させ、ルーブリックと評価アンケートを改良する。そして、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、研究計画に変更や修正を加えながらルーブリックとアンケートの改良版を用いた授業実践を行い、ルーブリックを活用した自己調整学習による声楽実技の授業方法とその有効性について検証する。あわせて、ルーブリックに即した声楽用テキストの作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、学会にはオンラインでの参加となり、また、声楽の授業を遠隔授業に切り替えて行ったことなどに伴うデータ収集・処理を含め、研究計画の一部を変更したため、旅費、人件費・謝金など予算の使用状況が当初の予定とは異なることとなった。 次年度使用額は、文献調査を目的に声楽関係図書購入費に充てる予定である。
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