2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of Strategies for Utilizing Educational Resources in Information Education Responding to the Progress of Society and Technology
Project/Area Number |
21K02864
|
Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
中園 長新 麗澤大学, 国際学部, 准教授 (10646897)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 情報教育 / 教育資源 / 学校図書館 / 倫理 / ELSI / デジタル・シティズンシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究の初年度であるため、主として研究の背景にかかる学術的理論等の検討、事例の収集、研究資料の収集等を行った。あわせて、研究成果として知見が得られたものについては、学会等で積極的に発表を行い、研究成果を還元するとともに研究に対する意見等を収集した。 情報教育を取り巻く社会状況は大きく変化しており、特に小学校プログラミング教育の実施、高等学校情報科の学習指導要領改訂、大学入試における「情報」の追加等が話題である。一方で、そうした情報教育を推進するための教育資源はICT活用が主であり、その他の資源の活用に対して十分な関心が寄せられていないことが明らかになった。また、ICTの活用においても、GIGAスクール構想で導入された1人1台端末にさまざまな制約が加えられ、十分な活用に至っていないという声も散見される。 本研究はこうした状況を踏まえ、研究対象として取り扱う教育資源の選定を行っている。本年度はその中でも特に、学校図書館、情報と倫理、デジタル・シティズンシップを中心とした研究を行った。学校図書館関係では、学校図書館が情報教育と十分な接点を持つことができていない現状を指摘し、情報教育で活用するための方策を検討している。情報と倫理の関係では、技術の進展に伴う倫理観の変化に着目し、哲学・倫理学の視点を情報学に向けることによって、学校教育段階においても倫理を意識した教育が求められていることを論じた。生命科学分野等で検討が進んでいるELSI(倫理的・法的・社会的課題)を情報教育に援用することにより、技術進展に対応した情報教育の在り方について検討を行っている。 これらに関する研究は次年度以降も継続するとともに、今後は他の教育資源についても対象とすることにより、研究の領域を拡大する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度として、学術的理論等の検討、事例の収集、研究資料の収集等を計画的に進めることができた。また、研究成果の一部についてはすでに学会等で発表を行い、次年度以降の研究に資する有用な示唆を得ることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現時点ではほぼ当初計画通りに研究を進めることができているため、次年度以降も原則として計画に沿った研究を推進する。具体的には、学術的理論等の検討、事例の収集、研究資料の収集等を継続するとともに、実践事例の分析を通して教育資源活用の理論構築を目指す。 研究対象とする教育資源としては、学校図書館、情報と倫理、デジタル・シティズンシップ等についても引き続き取り扱いつつ、さらに多くの教育資源を対象とすることを計画している。具体的には、GIGAスクール構想で導入された1人1台端末(タブレット端末)、ロボットや人工知能、ビッグデータ(データサイエンス)、学校内外の人的資源等を想定している。また、検定済教科書や副教材等の教育資源についても、活用が当然とされている現状に満足するのではなく、より効果的な活用が考えられないか、検討を予定している。 研究の遂行状況によっては、学校現場等への訪問調査や教員等へのインタビュー調査も検討するが、コロナ禍の収束が未だ見通せない状況であるため、実施にあたっては慎重に判断する。
|
Causes of Carryover |
2022(令和4)年度は本研究課題と並行して、科研費若手研究(B)の研究課題(17K14048)を継続して遂行することとなった。若手研究(B)の継続決定は、本研究課題の申請後であったため、本研究課題の予算は単独で実施することを想定していた。 本研究課題と若手研究(B)は、課題としては別個の研究であるが、研究対象とする資料等は共通するものも多い。そのため、若手研究(B)でによる助成金で購入した資料等を、科研費のルールに沿った形で本研究課題でも活用することができたため、結果的に本研究課題の支出が少なくなった。 また、コロナ禍による影響が想定よりも長引いており、学会参加や訪問調査等にかかる出張旅費が支出されず、残額が生じた。 次年度使用額については、これまでの研究課題と共通利用できない資料の購入や、購入後相当期間を経過して老朽化した研究用機器(ICT機器等)の買換購入に充てる。また、社会情勢が落ち着いた場合は、学会参加や訪問調査等にかかる出張旅費の支出も予定している。
|