2021 Fiscal Year Research-status Report
原因スキーマを手がかりとした教員志望学生の省察深化の解明と支援プログラムの開発
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21K02865
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
市川 洋子 千葉工業大学, 創造工学部, 助教 (70406651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深谷 優子 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (00374877)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 教員志望学生 / 教育実習生 / 逸脱場面 / 原因 / 省察 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、コロナ禍のため当初の計画を変更し、教育現場で実施する予定だったインタビューや調査は実施せず、教員志望学生や教育実習生を対象とした予備調査を主に実施した。並行して、生徒逸脱行動に関する文献資料を収集・整理を行った。具体的には以下の2点について調査・分析を試みた。 ①教育実習生を対象に、帰属複雑性尺度(佐藤、2012)と実習後の教師効力感との関連を検討した。その結果、有意な関連はみられなかった。さらに実習中の成功失敗場面の原因とレゾリューションの記述を分析したところ、帰属複雑性の高い学生が必ずしも適切な原因を記述しているわけではないことが示された。したがって、教育実習の段階では帰属複雑性が高い学生ほど、成功失敗場面での適切な原因認知を介して教師効力感を高めているわけではないことが示唆された。一方で、教育実習生であっても成功失敗の原因を特定の観点から考えさせることで教師効力感を高めたという報告がある(Boerら, 2016)。このことから、教育実習生の生産的な振り返りや教師効力感の育成を念頭に置いた場合、一般的な帰属複雑性尺度をそのまま使用するのではなく、教育場面により適合した原因を意識した質問項目に修正する必要があることが示された。②予備調査の一環として、まず、生徒の逸脱行動場面の事例を収集した。具体的には、教育実習中に体験した生徒の逸脱行動場面について実習生に自由記述形式による回答を依頼した。さらに文献・書籍から、教師が出会う生徒逸脱場面についても収集整理した。次に、生徒逸脱行動の想定される原因を収集した。教育実習先もしくは新任教師が出会う可能性が高い生徒逸脱行動に対して、その生徒がなぜそういった行動をとっているのか思いつく限りの原因を教員志望学生に回答を求め、さらに生徒の逸脱行動に関する書籍や文献に記載されている原因を収集し分類を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍による大学業務の変化への対応に追われ、調査分析等に当初予定した時間をかけることが不可能となったため。さらに中学校高校といった学校現場でもオンライン授業の対応等で慌ただしく、予定したインタビューなども次年度に延期し、その結果として令和3年度に予定していた学会発表も次年度に延期することとしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、中学高校の教員(もしくは教師経験者)にインタビューを実施し、教師版帰属複雑性尺度を作成する予定である。また教育実習生や新任教師が出会うことが多い授業中の生徒逸脱行動についてのシナリオを作成し、教師版帰属複雑性尺度、授業逸脱行動のイメージ、喚起感情、対処行動との関連を検討する。さらに教員志望学生を対象に、生徒逸脱行動の原因想起に介入するプログラムの開発に取りかかる予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:コロナ禍のため、令和3年度に実施予定だった中学高校教員へのインタビューと学会発表のための準備とそのための出張を取りやめ、次年度に変更したため。
使用計画:中学高校の教員へのインタビューと学会発表の準備と出張費に使用する予定である。
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