2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on development and training methods of marine engine simulator based on a real engine
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21K02876
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Research Institution | Toba National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
今井 康之 鳥羽商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90506510)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 機関シミュレータ / 組込み型UNIX / 燃焼解析 / 拠点間通信 / 遠隔操縦装置 / 機能拡張 / 実習教育 / 操船シミュレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象設備とする陸上に設置された舶用機関プラントに、機関シミュレート機能を拡張するための実機ベースの機関シミュレータシステムに関する見直しを継続して行い、開発時における余剰機能の整理と、新たな機能を拡張するための基盤整備を行なった。機関運転実習時における運転状況の多様化を図るため、遠隔操縦装置に着目した研究を実施し、成果を発表した。補助金は、機能拡張に必要な機関運転情報を得るための計測機器に当てられ、機関の燃焼状態測定のための環境整備を行なった。 実機ベースの機関シミュレータ機能の機能拡張の手法と実際について、論文執筆中であり、査読結果の修正を投稿している。シミュレート機能を付加するためには新設するセンサの計測値やマイコンで計算させる値を収集し処理するプログラムが必要となる。研究当初は、インターネットを利用したブラウザーでシミュレート機能を使用することも視野に入れプログラム言語にPerlを用いて開発していた。しかし計測値を処理するデータ処理装置やマイコンとの通信プログラムに組み込む汎用プログラムの更新がなされなくなり、また追加機能の増加に伴う組込み手法に課題が生じていため、Python3に着目したシステムの再構築を行なっている。 大型船舶を操船する際、船橋と機関制御室との双方向通信で使用する遠隔操縦装置(テレグラフ)に着目した研究に関して、成果を学会で発表し第91回マリンエンジニアリング学術講演会講演論文集に掲載された。シミュレータ用に改良を加えたテレグラフと両機器で設定する運転状態を連携させる機能をシステムに付加した。また、陸上で利用されているネットワーク技術を活用した拠点間通信を行わせることで、実機ベースの機関シミュレータと操船シミュレータの連携を図る基盤を構築した。異なる設備の連携を可能とすることで、遠隔による機関操作や機関の疑似運転状況の再現表示につながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、特に機関室で実際に体感できるシミュレート機能を導入するため、燃料系統のポンプ操作やその関連部品の操作を学習できる疑似装置の開発、敷設を行なった。また各シリンダ内圧力から求められる燃焼状態の再現、加工を行うために必要な運転データを計測する環境を整備した。 既存の燃料系統に追加される配管は、疑似配管と供給ポンプ2台からなる大型船舶にみられる燃料加圧系の配管を元に制作したもので、従来研究対象設備の構成にはない設備である。補器の並列運転に関する実習は実船においても実施されるが、運航中には頻繁に行うことができない。また、初学者にとって機器の操作による流動変化や機関運転に与える影響を理解することもさることながら、計器による数字の変化だけでなく関連する作業体験を得る機会は重要である。そこで本配管は管内に燃料を流さず、機関運転中にポンプ等の操作をしても運転に実害はないものとした。ポンプやバルブ操作による諸現象を模擬するため、新しく敷設した配管のみならず従来の配管との接合部付近に実操作ができる疑似バルブを作成し配置できるようにした。しかし物理的に操作できる現在の疑似バルブではパネル操作による遠隔操作時に連動がとれない等の課題が確認された。また研究者の所属機関が変更となり、遠隔操作に関する検討も合わせて行う必要がある。 燃焼状態を計測するために必要な燃焼解析装置は、対象機関が3気筒であるため複数センサによる同時計測と実船にも搭載されている計測ユニットで表示できるものを導入した。さらに計測ユニットから計測値を出力できる使用としシリアル通信をもちいたデータの抽出と外部PCによるデータ加工が行える環境を整えた。燃焼解析装置によるシリンダ内圧力の測定は、センサの取り付け部となるインジケータコックがセンサの自重により短時間しか行えず、計測時の機関振動の影響が少ない固定台の設計が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレートシステムの拡張を図るため、実配管に敷設した燃料系統のポンプ操作や配管の学習につなげる追加設備を実働可能な状態にするとともに、機関運転時の現象を再現するために必要なデータ計測を実施する。 追加配管における機器操作の一部は、実現場での作業やシミュレート画面での表現を通して可能となる。しかし、シミュレータの形態によらず拡張機能の操作を体験可能とするためには、取り付け機器の改良が必要となり、バルブ等の製作図面を再設計するとともに複数のサンプル製作による作動テスト行い、最適な部品開発を目指す。また、シミュレータと遠隔監視システムとのネットワークを再構築し、遠隔操作の機能試験を行うことで実習時に生じる課題抽出とシステムの向上を図る。バルブ等による制御関係の仕組みを確立することは、他のシミュレート機能を拡張する際にも必要な技術となる。 また外部出力による計測データの処理を行う機能を開発し、実際の計測ユニットの操作と合わせて疑似データを表示できる機能を組み込む。定常運転時における各負荷の圧力変化を計測するとともに、吸気状態、冷却水の温度などによる影響も見ていくことで、外部端末への実計測データの表示と、表示させる疑似データの検討を進めていく。 機関運転シミュレータとして拡張する機能に関する調査は文献や関連資料等によるものが主となったが、今後シミュレータの概要、使用方法、求められる機能について調査を拡大していくことで、追加機能の精査を行い、システム全体の不具合修正と実習教材としての拡張機能の向上を図っていく。また、訓練時の評価方法に関する情報を調査検討し、座学による学習との棲み分けや連携を行うための内容をまとめ、授業での本教材の活用方法を明示していく。
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