2021 Fiscal Year Research-status Report
中学校関数授業におけるメタディスコースの様態と働き
Project/Area Number |
21K02879
|
Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
高橋 等 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (80293273)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | メタディスコース / 暗黙知 / 数学授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
数学授業において教師と子ども,子どもと子どもとが相互作用する際に,互いに意図していることがずれていたり,或いは関数の定義などの共有していなければならない数学的知識が一致していない場合を,メタディスコースがずれている場合と特徴付けている。この特徴付けは,理論研究の成果であり,特に暗黙知理論からの導出である。 通常,意識していない暗黙知の領域に,子ども達は殆どの数学的知識を抱えており,その暗黙知は子どもにとって個性的であるが故に,相互作用において共有し得ても全く一致した数学的知識を土台とすることはあり得ない。メタディスコースは各々の子どもにとっての個性的な数学的知識間の潜在意識におけるディスコースであり,表出されるディスコースによって相互作用が成立し,同意に至ったとしても,その同意された数学的知識が暗黙知と結びついている限りにおいて,教師と子ども,子どもと子ども間の数学的知識には,何らかのずれが生じていることになる。 通常は,こうした数学的知識のずれは,ディスコースの運用において問題点とならないように見えるけれども,既習の数学的知識の異なる場合を土台として,子ども達がディスコースを行っている場合は多く,実は,こうしたメタディスコースのずれがあるからこそ,そのずれを表出化させ,何らかの同意を得ようとして,ディスコースが豊かに運用されていくことになる。 他方で,メタディスコースのずれが解消に向かわず,表面的にディスコースが成立しているように見えながら,個々の子どもが意図していることが全く異なるということになれば,教師の見とりと支援が重要になってくる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ流行のため,学校現場からデータをとることが難しいため,過去の授業プロトコルのメタ分析を行っている。インタビューを設定することができず,表出されるディスコースからメタディスコースを取り出す作業を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ流行が或る程度おさまれば,学校現場にデータを収集しに赴く予定である。コロナ流行が現在のままであれば,蓄積している授業データからメタディスコースを特定する作業を続けていくことになる。ただし,インタビューを行わない限り,明確なエビデンスがでてこない可能性もある。
|
Causes of Carryover |
コロナ流行のため幾つかの学会が対面式ではなくなり,いくらかの旅費の使用が難しくなったため。
|