2021 Fiscal Year Research-status Report
思考過程の可視化による物理の多様表現の困難と克服-CBTでの新たな表現を踏まえて
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21K02890
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
興治 文子 東京理科大学, 教育支援機構, 准教授 (60409050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 昭三 新潟大学, 人文社会科学系, 名誉教授 (10018822)
右近 修治 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (60735629)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 単振動 / グラフ理解 / 動画分析 / 視線追尾 |
Outline of Annual Research Achievements |
理系大学生を対象として、単振動のグラフ理解に関する調査および力学での運動分析ソフト利用に関する調査を行った。 前者については、微分積分学を用いた入門物理学を履修している大学生204名を対象に、単振動のグラフ理解に対するオンラインベースの調査を行った。その結果、多くの設問で先行研究の結果と似た傾向にあることから、国を超えて学習者が難しいと考える分野や表現に対する一定の知見を得ることができた。具体的には、高校の物理学の学習範囲で馴染みの少ない初期位相や、グラフの軸の読み間違い、質点のつり合いに関する誤概念などである。 次に、先行研究の単振動の調査問題に加え、シミュレーションの活用も含めた調査問題を作成し、試行的に視線追尾装置を用いて5名の学生を対象として調査を行った。物理学専攻の大学院生2名と、物理学科ではない学部生3名である。物理学を専攻している学生と、そうでない学生を比較すると、問題解法が異なることが明らかとなった。 後者については、同じく微分積分学を用いた入門物理学を受講している学生約240人を対象として、授業外で運動分析を行う課題を出し、その効果と課題について検討した。動画分析による力学概念の理解について、教師による提示だけでも「とても役に立った」「やや役になった」の割合が5割を超えたが、自分で分析したときは約6割を超えた。現象とグラフを結び付けて理解するために、動画分析が有用だと感じている学生が多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単振動のグラフ理解については、200人規模のオンライン調査を行った。その後、少人数ではあるが視線追尾装置を用いた調査も行い、学生の問題解法を明らかにすることができた。当初予定していたグラスタイプでの視線追尾はできなかったものの、被験者がタブレットに書き込む際の視線追尾をすることで、より詳細な学習者の思考過程を追うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の成果を踏まえ、分野における動画やシミュレーションを用いた場合の概念理解の解明について視線追尾装置を用いて行う。また、調査のためのビデオ教材などの開発も進める。 被験者がタブレットに書き込む際の視線を追尾する方法については、技術的な困難も明らかとなったため、改善する。
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Causes of Carryover |
申請書に記載していたグラスタイプの視線追尾装置は交付された金額では購入できなかったため、研究の実施方法を変更し、視線追尾装置の補助部品を購入したため。この補助部品では、被験者の視線がさえぎられて調査データが完全に取得できないことが判明したため、次年度は改良する方法について検討中である。
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