2023 Fiscal Year Annual Research Report
思考過程の可視化による物理の多様表現の困難と克服-CBTでの新たな表現を踏まえて
Project/Area Number |
21K02890
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
興治 文子 東京理科大学, 教育支援機構, 教授 (60409050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 昭三 新潟大学, 人文社会科学系, フェロー (10018822)
右近 修治 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (60735629)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 思考の可視化 / CBT / 物理学における多様な表現 / 反駁文 / 視線追尾 |
Outline of Annual Research Achievements |
学生が物理概念を理解する上での多様表現による理解の困難に関する調査について、2021年度に行った紙面調査の結果をまとめ、論文として公表した。 鉛直投げ上げ運動をしているボールにはたらく力について、図、グラフ、ベクトルで表されたそれぞれの問題に対する解答について、表現の間の一貫性を調査した結果、上昇中、最高点到達時、落下中の一連の運動において解答パターンは 24 通りと多岐にわたり、約 99%の生徒が図の解答とグラフの解答に表現間の一貫性はなかった。この結果から、物理を学び始めたばかりの生徒は誤概念だけでなく異なる表現での理解に困難を抱えていることを明らかにした。 視線追尾装置を用いた研究については、据え置き型のものを継続して利用し、調査方法を変更して実施した。具体的には、被験者に提示する問題について、問題の解答の手掛かりとして運動図、グラフ、表で表示した際に、被験者がどの表現のどの個所から情報を読み取っているのかについて、視線追尾装置を用いた被験者の眼球運動の調査とインタビュー調査を行った。また、調査の際に、被験者が分かりやすいと考えている表現方法についても調査し、その表現を主として問題解法時に活用しているのか、それとも問題依存性の方が高いのかについて検討した。結果については精査中である。 文章構成の違いによる内容理解の際についての研究についても、視線追尾装置を用いた調査の方法を昨年度の方法から変更したことにより、問題文のどこの部分を重点的に読んでいるのかについて明確に分析することが可能となった。しかし、文章を読みなおしたり、内容理解のために図をどの程度参照するのか、いつ図を参照するのかについては、個人差が大きく今年度も明確な結論を得ることができなかった。
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