2021 Fiscal Year Research-status Report
CO2濃度の実測データを利用した低炭素地域づくりのための市民科学プログラムの開発
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21K02892
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Research Institution | Nagoya Sangyo University |
Principal Investigator |
岡村 聖 名古屋産業大学, 現代ビジネス学部, 教授 (80314087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 雅一 名古屋産業大学, 現代ビジネス学部, 教授 (60340387)
高木 祥太 名古屋産業大学, 環境経営研究所, 研究員 (70870260)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 市民科学プログラム / CO2濃度 / 低炭素 / 生活環境圏 / 地域団体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者らがこれまで取り組んできた学校教育を対象としたCO2環境教育の成果を成人教育に援用し、地球温暖化防止活動を実践している地域団体との連携の下に、市民が生活環境圏におけるCO2濃度の調査活動に参画し、CO2の排出源、吸収源の具体的影響の検証を通じて、低炭素地域づくりに向けた環境行動を実践するための方法論を明らかにすることを目的とする。具体的には、岡崎市内の市民や企業によって構成する岡崎市地球温暖化防止隊(個人会員41名、法人会員52事業所)と連携してこれに取り組む。 当該年度の研究の成果としては、岡崎市域にCO2濃度測定局3局を開設し、その蓄積データを閲覧するためのWEBサイト(https://sites.google.com/view/citizenscienceco2)を立ち上げた。WEBサイトは、(1)研究の概要、(2)岡崎市域のCO2濃度(現在値と過去24時間変化グラフ、5分更新)、(3)岡崎市域のCO2濃度測定局3局の地図、から構成される。(2)では、3地点のCO2濃度の現在値と、過去24時間のCO2濃度変化の折れ線グラフを、プログラミング言語 Pythonによるアプリケーションを開発することで、常時5分更新で表示するようにした。(3)では、3か所の測定地点をGoogleマップによる埋め込み表示にすることで、土地利用や地形をわかりやすく比較できるようにした。 常に新しい情報や表現で更新されるWEBサイトを構築したことは、多くの人々がCO2の動態に対する科学リテラシーの向上を図り、低炭素地域づくりに向けて自立的かつ多面的な環境行動を実践に移していくための支援ツールとして、社会的意義がある成果であったと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年6月に岡崎市役所、有限会社のぞみ、㈱トビムシ事務所に研究協力の依頼を行い、CO2濃度測定局の開局に協力頂けることになった。2021年7月に、岡崎市地球温暖化防止隊役員会のオンラインミーティングに参加し、研究の趣旨を説明し、低炭素地域づくりを進めていくことができる市民科学の実践的方法論について連携して研究することになった。2021年8月にはCO2測定局での常時測定が開始された。2021年12月には、岡崎市地球温暖化防止隊役員会オンラインミーティングにて、CO2測定局におけるCO2濃度のモニタリング状況を説明した。2022年3月には、岡崎市地球温暖化防止隊一般会員及び一般市民に対して市民講座を開催する予定であったが、愛知県まん延防止等重点措置のため、開催が延期されることになった。市民講座が延期されたため、現在までの進捗状況をやや遅れている、と評価したが、CO2濃度測定データの蓄積は順調に進んでいるため、コロナウイルス蔓延による状況が改善されれば、研究に進捗は改善する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
延期された市民講座を2022年7月に開催し、1)プラットフォームを利用した定点データの分析、評価、2)測定局周辺の土地利用を考慮したCO2濃度調査による面データの収集、3)これらの実測データの低炭素地域づくりへの応用に至る一連のプロセスを市民科学プログラムとして実施する予定である。また、講座参加者の学習記録から、テキストデータマイニングの方法を用いて低炭素地域づくりに向けた意識変容、行動変容のプロセスを検証、評価する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究では、仮想化ソフトウェアEricomAccessNowを用いて、HTML5対応ブラウザを搭載したあらゆるデバイスから利用可能な学習支援システム(学校教育を対象としたCO2環境教育用途として申請者らの先行研究で開発済)を活用する。このソフトウェアのサポートが2022年7月に期限切れとなることが発表されたため、最小購入ライセンスである10ユーザ263,380を、サポート期限に合わせて次年度にその他の経費として使用する。 また、本研究では、学校教育を対象とした申請者らの先行研究により開設された既存のCO2濃度測定局の測定データとの比較が欠かせないが、既存局については経年劣化で老朽化してきたことと、今回新設されたCO2濃度測定局と条件をそろえることを理由として、百葉箱を当該年度に購入する予定だった。ところが、今回新たに開設した測定局の百葉箱3台を購入した際の価格218,130に対して、同一業者から同じ年度、同じ製品を、同数購入するにも関わらず72,270高額な290,400が見積もり金額であった。他の業者も同程度の価格水準であったため、既存測定局の百葉箱の老朽化の進行を観察しながら同程度まで価格が下がることを期待して購入を見合わせてきた。しかしながら、昨今の社会情勢では、むしろ価格が上昇する可能性すらあるため、次年度に物品費として使用する。
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