2021 Fiscal Year Research-status Report
地域博物館での科学館活動で抽象的科学原理を扱う方法論の開発
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21K02897
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Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
戸田 孝 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 専門学芸員 (90359266)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地域特有の自然現象 / 科学館的手法 / 地域博物館 / 抽象的科学原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画では「科学館活動」を活発に行っている館や関係団体等の公表資料分析や訪問等による実情調査をまず実施し、それを踏まえて手法開発を進めることとしていた。しかし、計画策定後に所属機関において本研究のテーマに密接に関係する展示企画(ギャラリー展示)が実施されることが決定した。そこで予定を変更して、まずこの展示企画において本研究における手法開発の素案として考えていた手法を具体化して実施し、その結果を踏まえて公表資料分析や実情調査を進め、手法を改善していく方法を採ることにした。 展示企画の実施期日は1月4日から3月6日までであった。これを目標として、参加者の属性が異なる3つの学会において、琵琶湖地域で見られる物理現象に関連するテーマのうち「琵琶湖環流の生成維持機構」「鉛直循環の完成条件」「洗堰による水収支の間接制御」「湖内での津波の有無」「虹の発生条件」などに関する展示手法のアイディアについての研究発表を行い、様々な視点からの意見を求めた。そして、これを踏まえて展示の企画設計および製作を進めた。 展示実施中には、その成果を評価する作業も進めた。具体的には、展示のどの部分が印象に残ったかを記述してもらうアンケートを実施したほか、特に「琵琶湖環流の生成維持機構」については、どのように「伝わっているか」が従前からの課題であったため、それを探るための聞き取り調査を重点的に実施した。この調査結果の分析検討は次年度早々に進める予定である。 なお、以上の活動の前提となる「科学館・理工系館」という「館種」の定義の問題について本研究課題実施以前から検討を続けていたが、その成果の文章化を進め、次年度に論文公表できることになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
展示企画の実施に際しては、多数の参集を求めて多様な意見に基づいて手法開発を進める予定であったが、コロナ禍のため参集が容易でなく、専ら日常的に参集している者のみによる検討で進めることになった。そのため、当初想定していたほどの画期的な展示手法は産み出されなかった可能性がある。 論文公表についても、コロナ禍による学会側の編集工程の遅れのため予定より遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
展示企画の実施準備で得た知見および期間中の展示評価の結果を踏まえて、当初計画で予定していた各地の科学館等での実践事例の文献調査や聞き取り調査を改めて実施する。特に理工系の内容と自然史系の内容の融合連携に成功している事例の抽出と、その成功要因の解明とを主たる目標に据えることは、当初計画の通りとする。
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Causes of Carryover |
展示手法の検討に際して多様な人材の参集を求めて広く検討することを想定していたが、コロナ禍の影響で参集が容易でなく実現できなかったため、それに関連する人件費が必要でなくなった。また、論文公表の編集作業がコロナ禍の影響で遅延したため、関連費用を支出していない。 人件費については、次年度以降に実践事例調査を改めて実施して展示手法の改良を進める予定であるので、その段階で執行する。論文公表の費用については、単に遅延したのみであり、次年度に予定通りに支出する。
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Research Products
(3 results)