2021 Fiscal Year Research-status Report
教員養成系学部生が保持する4種類の誤った電流・電圧ルールを解消する実験講座の開発
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21K02899
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
平島 由美子 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (60242377)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教員養成 / 電気回路 / 誤概念 |
Outline of Annual Research Achievements |
学習者にとって電流や電圧を正しく理解することは容易ではない。2009年より、主に教員養成系学部生を対象に電流・電圧理解に関する実態調査を行い、学習者のつまずいている箇所とその理由を探ってきた。2009年~2019年に実施した教員養成系学部生1465名を対象とした調査の結果からは、間違ってはいるが、学生が強固に保持し判断基準として活用している“学生なりの電流・電圧ルール”が4種類見つかっている。同じ質問紙調査は、令和3年度も計画したが、新型コロナウイルス感染症拡大の状況があり、予定していた4分の1程度しか実施できなかった。また、これまでの小学生から大学生までの調査結果を再度見直すこととし、質問の結果だけでなく、選択肢を選んだ理由や自由記述の内容の確認に着手したが、数が膨大で確認・集計・分析作業にはかなりの時間を要することが予想された。小学校・中学校・高等学校で電気回路に関する学習が進むにつれて、電流や電圧の誤概念の種類が少なくなっていく傾向があるものの、高等学校で物理Ⅱや物理まで履修している大学生であっても、いくつもの誤った概念を強固に保持していることが把握できた。また、電位差(電圧)を理解できていない、回路全体を見ず部分的に推測をする、電源電圧がどこにかかるのかを考えない大学生が多数いることもわかった。「電圧がかかるから電流が流れる。電流は加えた電圧に比例し電気抵抗に反比例する」と考えるのではなく、「電源から電流が流れ出ていくが、このとき、同じ電源なら流れ出る電流は常に一定である」と考える大学生が相当数いることも把握できた。令和3年度は、これまでの実態調査結果を踏まえ、学習者の電流や電圧の理解を促す実験教材を組み合わせや順次性を検討してきたものの、新型コロナウイルス感染症拡大の状況が続き、電気回路学習を苦手とする教員養成系学部生のインタビュー調査等はほとんどできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の状況があり、これまで継続してきた教員養成系学部生を対象とした電流・電圧理解に関する実態調査は4分の1程度しか実施できず、計画していた誤概念を保有する教員養成系学部生のインタビュー調査等もほとんどできなかった。また、計画していたこれまでの小学生から大学生(教員養成系学部および理系学部)までの調査結果の見直し作業に着手したものの、数が膨大で今後もかなりの時間を要することが予想された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで継続してきた教員養成系学部生を対象とした電流・電圧理解に関する実態調査を実施する。加えて、これまでの調査結果の見直し作業も継続して行う。また、学習者の電流・電圧の理解を促す複数の実験教材の組み合わせと順次性についても引き続き検討する。検討した案については、学習者が電流・電圧を理解するのに役立つかどうかを、教員養成系学部生(主に非理科専攻)を対象にしたインタビューや授業実践で調査し、調査結果を踏まえて教材をさらに改善していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の状況が続き、令和3年度に計画していた教員養成系学部生を対象にしたインタビュー調査等が実施できなかったことに伴い、学習者の電流・電圧の理解を促す複数の実験教材の組み合わせが決めきれず、最優先で必要となる対面実践(小学校教員採用内定者向け実験講座や若手教員研修等)に必要な実験教材の材料や実験器具類を必要数だけ購入するに至らなかった。また、当初は遠隔での実践も計画しており、令和3年度のうちに必要な機材等も購入する予定であったが、実験講座等の内容を具体的に検討するうちに学習者の誤概念解消には対面での実践を優先すべきであると考え、遠隔実践で使う機材等の購入を見送ることにした。令和4年度は、インタビュー調査を行い、対面での実験講座等の内容を決めて、必要な数の実験教材材料や実験器具類を購入する。また、膨大な数の実態調査結果の分析作業のために当初計画より入力作業補助の人件費を多く確保しPCも購入する。
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