2023 Fiscal Year Annual Research Report
教員養成系学部生が保持する4種類の誤った電流・電圧ルールを解消する実験講座の開発
Project/Area Number |
21K02899
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
平島 由美子 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (60242377)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教員養成 / 電気回路 / 素朴概念 / 電位差 / 実験パッケージ / 実験講座 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで小学校5年生から大学生までを対象として実施してきた電気回路に関する質問紙調査の結果から、学習者の持つ誤概念や躓きを整理した。また、従来の電気回路学習では誤概念が強固に残るという課題を解消する目的で実験の内容等を見直した単元学習計画を作成し、公立中学校第2学年5クラスを対象に授業実践を行った。これらから得た成果と課題を踏まえ、学習者の電流・電圧・電気抵抗に関する理解を促す教員養成系学部生対象の実験講座(実験パッケージと指導方略)について再考した。実験パッケージの内容に関しては、教員養成系学部生(理科専攻)を対象に実践を行い、誤概念を未だ保有している学生の反応、学部授業等で小中学校の理科授業を何度も参観している学生の意見を踏まえ、学習者の電流・電圧・電気抵抗の理解を促す実験教材の組み合わせと順次性を再度見直した。具体的には、実践に協力してくれた学生の実験時の反応や班での議論の様子等を踏まえ、新たに複数の実験(デジタル電圧計を用いて各種回路における電圧降下を測定する実験、サイズの異なる乾電池をつないだ単純回路の演示等)を追加した上で、実験の順番を再検討した。また、指導方略に関しては、思考整理や概念転換には学生同士の議論が必要であると考えられるため、質問紙調査での回答や理解が不十分と思われる内容の追加問題の回答に関して班で議論を行い、その効果を確認した。今回協力してくれた学生を対象に、再度、質問紙調査を実施したところ、正答率と自信度がかなり上がることがわかった。実験講座では実験パッケージを実践するだけでなく、参加者が自分の考えと他者の考えの違いに葛藤したり、実験で明らかになった内容や自分の思考を整理したりする時間を十分確保する必要がある。今後、再検討して得られた実験講座(複数の実験を追加した実験パッケージ+班での議論)を、非理科専攻の教員養成系学部生を対象に実施予定である。
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