研究公正におけるリハビリプログラムの作成と有用性の検証

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 21K02909
• Research Institution: Toho University
• Principal Investigator: 中田 亜希子 東邦大学, 医学部, 講師 (80597857)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 岸 太一 京都橘大学, 健康科学部, 准教授 (50329041) ; 廣井 直樹 東邦大学, 医学部, 教授 (30366497)
• Project Period (FY): 2021-04-01 – 2025-03-31
• Keywords: 研究不正 / 不正のトライアングル論 / 調査報告書

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、研究不正を行った研究者へのリハビリプログラム（再発防止を念頭においたプログラム）の提供体制を構築することを最終的な目的としている。特に医学系研究を本研究の中心的な領域と捉えて研究をすすめている。今年度は過去の研究不正を精査することで研究不正が起きる環境を把握し、理論的な枠組みと合致するのかどうかを検討するためのデータを集める予定であった。年に3回しか開催できなかったが、研究分担者らと研究会を設け、研究の方向性や理論的な枠組みについて検討を行った。研究会の開催件数は少ないが、不正のトライアングル論として有名なクレッシーの著書を読み、他に考えられる行動科学の理論を検討し、入手した調査書を読むなどして研究を遂行している。
当初の予定では、研究不正を行った研究者の所属する研究機関にインタビューを申し込み、不正が起きる背景を把握し、横領の文脈で導かれたクレッシーの不正のトライアングル論に合致するのかを検討する予定であった。しかし、実現可能性の点から、研究計画をインタビュー調査から文献調査に変更した。具体的には、文部科学省のホームページに公表されている過去の研究不正一覧をもとに、インターネット上に公表されている研究不正に対する研究機関作成の調査書を入手し、研究不正が起こる環境を検討することとした。文部科学省のホームページに公表された不正案件のすべての調査報告書を入手できたわけではないが、医学系研究を対象に発生要因が不正のトライアングル論にどの程度合致しているのかを検討した。調査結果は、2022年に学会で発表する。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

クレッシーの不正のトライアングル論の原著にあたることができたことは良かった点である。しかし、医療系の研究不正に関する調査報告書の分析には着手できたが、他分野の分析が終わっていない。また、海外の文献に十分にあたることができていない。

Strategy for Future Research Activity

医療系研究を対象にした不正の調査報告書は継続して収集し、データを蓄積する。
他分野の研究を対象にした不正の調査報告書の分析に着手していく。
海外の文献にアクセスして、クレッシーの不正のトライアングル論以外の有用な理論的枠組みを調べることをすすめる。
定期的に研究会を開き、これら研究活動の成果を共有していく。

Causes of Carryover

インタビュー調査のために計上していた研究費を、研究計画変更のために使うことができなかった。また、情報収集のために学会への参加を計画していたが、時勢によりWeb開催となったため、研究費を使用しなかった。しかし、2022年度は国際学会が開催される予定であり（ハイブリッド開催）、コロナ禍でも国内学会への参加が可能となってきている。自分たちの研究成果を発表するためにも積極的に参加する予定である。
研究不正の領域は学際的であり、医学系研究以外の有識者から意見を聞くことも研究を推進することとなる。そのため、有識者を招聘した学際的な研究会を行いたい。
2021年度の未使用額については、2022年度分と合わせ学会参加に伴う旅費のほか、文献複写費（文献収集費用）等に使用する予定である。