2023 Fiscal Year Research-status Report
研究公正におけるリハビリプログラムの作成と有用性の検証
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21K02909
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
中田 亜希子 東邦大学, 医学部, 准教授 (80597857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 太一 京都橘大学, 総合心理学部, 准教授 (50329041)
廣井 直樹 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (30366497)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 研究不正 / 盗用に対する態度尺度 / 尺度開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題のそもそもの目的は、研究不正を行った研究者へのリハビリプログラム(再発防止を念頭においたプログラム)を提供する体制の構築である。2022年度までの研究内容を要約すると、環境要素と研究不正発生の関連を把握することができず、また、研究不正を行う心理をより説明できる行動科学の理論を検討したが、現時点では特定の理論・モデルの選定には至らなかった。そこで我々は、特定研究不正のひとつである「盗用」に焦点を絞り、盗用の態度を測定する尺度の下位概念を把握することが理論やモデルの選定や教育プログラム作成につながるのではないかと考えた。そして、文献調査を行い、多言語に翻訳されている盗用の態度を測定する尺度があることを把握した。 日本における盗用に対する態度尺度は見当たらなかったので自分たちで作成することとしたが、日本のコンテクストの中で活用できる尺度を作成するには、まず翻訳版を作成し、そのうえで日本の社会文化を反映させた尺度に修正する必要があると考えた。そのため、2023年度は、英語版(オリジナル)の盗用に対する態度の尺度(Attitude toward Plagiarism Questionnaire)の日本語翻訳版を作成することを目標に掲げた。オリジナル版の作成者に連絡を取り、日本語翻訳作成の許諾を得て、翻訳版作成のルールにのっとり日本語翻訳版の質問紙を作成した。この日本語翻訳版の信頼性と妥当性を検討するためには、人を対象としてデータ収集をする必要があるため、2か所の所属機関(個別審査)で研究倫理審査を受審し、それぞれ承認を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
英語版の「盗用に対する態度の尺度」の翻訳許可を得ることができたので翻訳版を作成し、人を対象とする研究を行うための倫理審査受審と承認を得るところまでは進んだ。しかし、まだその信頼性と妥当性を検討する調査に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ATPQの日本語翻訳版の信頼性と妥当性を検討する。日本の文化の中で機能する尺度を作成するためには、翻訳版を日本の社会文化の中に落とし込んだ尺度に修正する必要があり、翻訳版作成後は修正版作成に着手する。盗用に対する態度の尺度(修正版)の下位概念を基に、教育プログラムを1つ立案する予定である。
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Causes of Carryover |
2021年に予定していたインタビュー調査費用を2022年度に繰り越したため、2022年度も未使用の研究費が生じた。 2023年度には作成した質問紙の信頼性と妥当性の検討まで行う予定であったが、倫理審査の受審までしか到達しなかったため、調査費用を2024年に繰り越して使用する。2024年度は学会発表や論文投稿を行う予定である。
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