2023 Fiscal Year Research-status Report
生物学教育における自然人類学の新しい展開と科目間連携の探索
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21K02910
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
松村 秋芳 神奈川大学, 化学生命学部, 非常勤講師 (50531373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広谷 浩子 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (10205099) [Withdrawn]
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
近藤 修 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (40244347)
太田 博樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40401228)
戸坂 明日香 京都芸術大学, 文明哲学研究所, 准教授 (40894548)
矢野 航 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 進学課程, 助教 (80600113)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 動画 / 人類の進化と系統 / 直立二足歩行の進化 / 頭蓋骨3D模型 / ネアンデルタール人の遺伝子 / 復顔 / 人類の食物 / 科目間連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和6年3月末時点での研究実績は下記の通りです。 ①人類における脳の進化については、3Dプリント標本を利用した脳容量データの比較実習を構築した(矢野:Asian J. Paleopathol., 2024)。人類系統進化学習キットを構築し、猿人、原人、旧人とヒト(ホモ・サピエンス)の違いに着目して、形質的な着眼点を解説した(松村, 矢野, 近藤:Asian J. Paleopathol., 2024)。②人類の食物の変遷とその影響に関する研究について、放射性同位元素を用いて食性を分析する方法とその結果を紹介するテキスト(米田、2021、東京大学出版会)を用いた授業で学習効果を検討した(松村)。③ 類人猿とヒトにおける姿勢と運動の比較については、ラエトリ足跡化石に基づいた歩行実験を開発・改良し、高校の実習における効果を検討した(松村・野村・市石・広谷・矢野・米田:2024、日本生物教育学会)。④ 復顔を通してヒトと化石人類の頭骨の特徴を学習する方法の開発研究では、小中高校生の年代に近い化石人類のTurkana Boyを頭骨モデルに選定し、3Dプリンターを用いて頭骨模型を制作した(矢野)。復顔で使用する軟部組織厚のデータの選定し、復顔をすすめた(戸坂)。⑤ ヒトの遺伝については、現代人とネアンデルタール人の遺伝子比較研究(ペーボ S.、2022年ノーベル生理学医学賞)を解説する動画を作成した(太田)。⑥ 人類の進化についての授業用パワーポイントの作成をすすめ、講義で試用した(松村)。⑦ 研究成果を博物館等の展示学習に応用するための新規のプログラムを作成し、実践を試みた(米田)。⑧ 人類進化に関する学習について、高校生物と地学、地理歴史などの分野との連携をどのように行ったらよいかを具体的に考察した(松村:考古学ジャーナル,2024; 2月投稿)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は全体的に遅れはないと判断していました。しかし、2021年から2022年にかけては新型コロナウイルス感染症の流行のために、野外での観察やデータの取得が最低限にしか行えない時期がありました。 また、代表者の実母が2023年に他界し、これと関連した諸手続き整理等のため、とくに2023年度に計画の遂行とまとめの時間が十分に取れなくなったため、1年間研究期間延長の手続きを行いました。同時期に分担者の1名について体調不良のため復顔を利用した研究を十分に進めることができませんでした。 期間を延長することで当初の目標を達成できるよう希望しています。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度までに十分達成できなかったテーマについて内容の点検と公表を行います。具体的には、下記について推進します。 ①ラエトリ化石に関する研究に関連した、ヒトの歩行分析について、実習書を提案する。②ニホンザルの観察実験を紹介する動画に修正を加え、動画の効果について検証する。③復顔を通してヒトと化石人類の頭骨の特徴を学習する方法の開発研究では、軟部組織厚のデータを使用して、復顔をすすめ、その過程を教育用動画として公表する。 ④これまで作成を試みてきた実習課題についてまとめを行う。とくに、江戸川区子ども未来館で行ってきたセミナーの内容を中心に、実習や課題学習の参考となるような実習参考書を完成させる。
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Causes of Carryover |
最終年にこれまでの成果をまとめの参考書として刊行する予定でしたが、研究に遅れが生じたため、2023年度に使用しませんでした。その費用を次年度に実習参考書の刊行費用として使用する予定です。
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