2021 Fiscal Year Research-status Report
スマートラーニングの開発と実践:外来植物の天然染料を染色に活かした複合教材
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21K02930
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
藤吉 正明 東海大学, 教養学部, 教授 (70349322)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 外来植物 / 帰化植物 / 園芸栽培植物 / 草木染 / 天然染料 / 草木染 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、研究初年度の令和3年度は、日本に存在している様々な外来植物(約300種)の草木染めを実施し、濃く染まる濃染植物を明らかにすることが目的である。現在、日本に定着している外来種は、1000種以上が知られているが、本研究においては、生物分野における保全活動にもつなげていくことも目的としているために、在来種に対して悪影響を与える可能性が高い種を中心に調査を進めていった。草木染は、どんな植物でも材料となるが、 色素含量の差により、1回で染まる色合い(色の濃さ)は種によって大きく異なる。そのため、学校教育の中では授業時間が限られているため、短時間でより濃く染まる植物の方が教材としての価値は高い。そのため、多くの外来植物の中から濃く染まる植物を1種類でも多く見出すために、調査及び染色実験を進めた。その結果、令和3年4月から令和4年3月までの1年間で、410種の外来植物を染色することができた。材料の採取は、主に河川や海岸、都市部の道路脇などで集めたが、人為的な影響の強い場所では園芸植物や野菜等の栽培植物等も確認されたため、本研究で対象とした外来植物はそれらの種も含めた数値となっている。結果は、測色計を用いて色彩データを記録し、客観的な視点で判断した。410種の染色布の測定結果から、使用した媒染剤ごとに5種の濃染植物を絞り込んだ。アルミ媒染で濃く染まった植物は、メリケンカルガヤ、アレチヌスビトハギ、ナンバンカラムシ、ハイニシキソウ、オオバナノセンダングサであった。銅媒染で濃く染まった植物は、オオキンケイギク、ハルシャギク、キバナコスモス、アメリカセンダングサ、アメリカタカサブロウであった。鉄媒染で濃く染まった植物は、コニシキソウ、オオニシキソウ、ユウゲショウ、メマツヨイグサ、トキワギョリュウであった。引き続き、日本各地から外来種を集め、600種以上を目標に研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度の令和3年度は、日本に存在している様々な外来植物(約300種)の草木染めを実施し、濃く染まる濃染植物を明らかにすることであった。実際、植物材料は、関東を中心に西日本と沖縄地域を中心に採取され、染色実験が行われた。材料の採取は、主に河川や海岸、道路脇などで集めたが、人為的な影響の強い場所では園芸植物や野菜等の栽培植物等も確認されたため、本研究で対象とした外来植物はそれらの種も含めた結果となっており、一般的な外来植物の定義より幅広くなっている。そのため、令和3年度に採取された植物種の結果の410種という数値は目標を超える高い数値になっているが、園芸種や野菜などの栽培種を除くと300-350種となるため、自己評価については「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の2年目は、材料の外来種をさらに1年間で約150種追加するとともに、方法論として小学生でも短時間で安全に染色できるための、染色方法についても検討する。昨年、コロナ感染の関係で東日本地域の植物採取を取りやめにした。そのため、令和4年度については、東日本、特に北海道と北陸、東北地域を中心に外来植物を採取する予定である。染色時間の短縮や染料保管に関する方法論の検討については、令和3年度の研究で得られた成果を活用し、絞り込まれた濃染植物の一部を実験材料として用いる予定である。また、濃く染まった植物の中にどんな染料色素が含まれているのかを明らかにするために、高速液体クロマトグラフィーや分光光度計などの分析機器を用いて特定やその定量を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染の関係で、出張回数が当初予定よりも少なくなってしまったため、旅費の使用金額が少なくなってしまった。その分、物品費とその他の費用が予定よりも増えたためにその使用にあてたところもあるが、それでも全体として69,899円の持ち越しとなった。この金額については、令和4年度において前年度予定していた出張を追加し、繰越金を使用していく予定である。
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