2023 Fiscal Year Annual Research Report
自律的・協同的なエンジニア育成のための工業高校向け技術者倫理教育手法の開発と実践
Project/Area Number |
21K02935
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
上野 哲 小山工業高等専門学校, 一般科, 教授 (90580845)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アクティブラーニング / 協同作業 / 討議 / プレゼンテーション / ケースメソッド |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度はケースメソッドによる試行授業を予定していた県立工業高校3校での授業実践がコロナ禍により不可能となった。部外者でなく当該校の教員であれば実践可能であるとの連絡を受け、急遽授業実践予定校の常勤教員に前年度作成の「授業者向け手引き」をもとにケースメソッド授業の代行を依頼したが、代行授業は叶わなかった。 そのため、工業高校での試行授業実践は断念し、代わりに工業高校出身の学生も多く、分野も機械・精密システム系、電気・電子制御系、バイオサイエンス系の多岐に渡って専攻している学生が集まっている帝京大学理工学部の1~2年生119名の協力を得て、7本のケースを用いてケースメソッド授業を試行実践した。7本のケースはそれぞれ「ドーピング/臓器移植(生命工学倫理関連)」「環境保全(土木工学倫理関連)」「データ捏造・科学ジャーナリズム(研究者倫理関連)」「ホイッスルブローイング/CSR(企業倫理関連)」に関わるもので、いずれも生徒・学生が社会に出て組織に所属し、技術系専門職としての責務を果たそうとする際に直面する可能性が高い倫理的問題を扱う内容となっている。 また、ケースメソッドを初めて担当する授業者のために作成した指導マニュアル(手引き)について、県立広島大学保健医療福祉学部修士課程の大学院生3名の協力を得て、ケースメソッド教育に精通していない者の視点から改善のための多くのアドバイスをもらった。これらの実践結果を受けて、7本のケース及びファシリテーター用マニュアルを改訂した。 研究期間全体を通じてコロナ禍が収束する見通しに甘さがあり、実際に高校でのケースメソッド実践が叶わなかったが代替の実践授業で補完はでき、多くの授業実践データを得られた。工業高校生向けの具体的で現実的な技術者倫理教育コンテンツの作成はでき、この分野の授業実践を試みる教員や研究者に対して、先駆的なデータを示すことできた。
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