2021 Fiscal Year Research-status Report
Fire safety education materials enriching students' understanding of energy concept in lower secondary science
Project/Area Number |
21K02939
|
Research Institution | National Research Institute of Fire and Disaster |
Principal Investigator |
野村 祐子 総務省消防庁消防大学校(消防研究センター), 技術研究部, 主任研究官 (80358788)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 光宏 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (40514641)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 災害教育 / エネルギー概念 / 防火教育 / 初等中等理科 / 教材開発 / 深い学び / 文脈学習 / 消防 |
Outline of Annual Research Achievements |
理科の学習の中で、火災を含む様々な災害の仕組みを統合的に理解できるようにするため、多様な学習者との個人的・社会的・職業的関係性を併せ持つ「消防」を文脈として、科学的根拠に基づき火災危険を説明する力と科学的根拠に基づく火災時の行動選択力の育成を学習目標に設定し、目標達成に必要な学習課題を選定した。これらの学習課題を構造化し、初等中等理科におけるエネルギー概念の形成を志向する消防を文脈としたカリキュラムを提案した。 「物の温まり方」における学習課題として選定した「火災や火災の煙は、上方に拡がりやすい」は、建物火災時に煙が下降すると逃げ遅れる危険性を高める恐れがある。消防研修現場の体系的な知識を理科教育に水平展開することによって、当該学習課題に不足している説明を補い、流体の運動と高等学校の物理・化学をつなぐ文脈学習を提案した。具体的には、消防大学校における火災科学に関する講義の内容と、高等学校学習指導要領解説理科編における力、運動、熱、圧力、気体の扱われ方を分析し、これらを関連付けることによって、出火建物の窓を開放した時に高さによって室内外の圧力差が異なることを説明できるようにする文脈学習「自然換気」と、高校化学「反応速度」における文脈学習「建物火災」を提案した。 状態変化と熱の伝わり方の学習の中で沸騰現象を日常生活に関連付け、消防を文脈とした理科授業をデザインすることによって消火活動に伴う二次災害の危険性を理解し火災安全の向上を図るため、過熱状態の水が沸騰する仕組みを理解するための教材の作成を試みた。水より比重が大きい油に浮かべて加熱した水滴の挙動と、水より比重が大きい油と小さい油の界面で加熱した水滴の挙動を撮影し、突沸の起こりやすさと激しさを比較して現象の違いを捉える観察実験映像を作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究実施計画に従い、2018年度~2020年度(18K02951)の成果を踏まえ、本年度は過熱状態の水が沸騰する様子をより詳しく観察するための実験を設計し、「水蒸気爆発」のメカニズムと危険性を学習するための実験映像教材を作成することができた。しかし、冊子教材と教材評価のための事前・事後調査問題の作成および試行授業の実践については、18K02951で作成した「収れん火災」の教材の授業実践と評価を優先したため、達成することができなかった。一方、高校化学における文脈学習の提案に関しては、当初予期していない成果を挙げることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1) 「水蒸気爆発」の冊子教材と教材評価のための事前・事後調査問題の作成および試行授業を行い、学習効果を検証する。 (2) 「混合と着火の仕組み」の教材開発を進める。 (3) 開発した教材を既に公開済のウェブ教材に追加するとともに、教員の理解を促す技術資料を作成する。
|
Causes of Carryover |
「混合と着火の仕組み」の教材開発における観察実験の内容の見直しを行ったため、当初購入を予定していた物品の一部を購入しなかった。また、コロナ禍の影響で、共同実験と試行授業打合せを実施できず、学会はオンライン開催となったため、旅費を使用しなかった。 新たな観察実験の実施に必要な物品の購入と、共同実験の実施および試行授業打合せ等のための旅費として、使用を計画している。
|
Research Products
(5 results)