2021 Fiscal Year Research-status Report
Exhaustive Researches of Learning Notebooks to Investigate the New Reality of Science, Mathematics, and Engineering Education in Meiji Era: Its Re-creation in the 5G Era
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21K02947
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 昭三 新潟大学, 人文社会科学系, 名誉教授 (10018822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土佐 幸子 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40720959)
伊藤 克美 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (50242392)
岡野 勉 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (30233357)
興治 文子 東京理科大学, 教育支援機構, 准教授 (60409050)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 全国網羅的な授業記録探索 / アクティブラーニング型授業法 / 小学校生徒用物理書活用実態 / 理数工教育の実相と教訓 / 学制150年記念授業記録探究 / 簡易実験的能動学習 / 明治科学教育の日欧米比較 / 明治科学教育の新実態 |
Outline of Annual Research Achievements |
兵庫で明治20年代の科学実学全分野を網羅した宇治橋筆記文書などを発見し,写真撮影しその解読を進めた。四国香川で同時期以降の山下家・香川家文書の収集分析を進めた。石川・熊本・愛媛・静岡(桜井と小川の生地・教職地)で発見した理数授業文書等の分析・解読を進めた。そして北海道・本州から四国・九州へと全国網羅的に新展開し,授業文書の分析と解読を進展させた。学制150年を期して,2022年度には授業実録解読の包括的な新展開に向け,本研究企画を着実に進展させ成果の蓄積をしてきている。更に,その日本の科学実学教育の明治期的な潮流を,欧米での当時の最先端教科書と対比して,日欧米における相互の連関に関する包括的調査(コロナ時代のアーカイブス化と分析調査)の集大成へと新展開させつつある。全国的な科学や実学分野の授業に関する授業記録や授業筆記の収集や解読の進展事例を数多く体験・蓄積しており,本研究目標の達成が見込まれている。 特に,中川謙二郎の『訓蒙化学(1880 年)』・後藤牧太等の『小学校生徒用物理書(1885 年)』等に端を発する国内的な潮流は、世界的な強い関連を持った国際的なワグネル・手島精一の系譜へと発展をして来ている。日本的科学や実学教育とワグネル系譜(手島・中川・三宅・後藤)他の潮流等の特色ある授業筆記を読み解く中で,その実相を究明する調査研究を進展させた。明治前期の学制開始期から高揚期,明治中期の小学校令以降における転換期・成熟期,明治後期の国家統制強化・国定化と自由喪失時代,等の体系だった授業筆記記録の数々を蓄積してきた。これ等により,科学教育・理数学教育や実学教育の実相についての欧米やアジアに於ける国際的な教育潮流に学んだ「当時の日本の理数工教育の特質を欧米と対比させ,明治期全体をカバーする広い視野で調査分析・考察・解読して,教育史的な教訓を豊富に探索し蓄積してきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開国以来の科学や実学の授業記録(授業筆記・教案筆記・試験)を全国網羅型探索でデジタル授業記録資源庫へと集大成し、教育史的新実相を,次の様に解明する事をこれまでに実現してきている。第一に 遠隔検索が可能な拠点地域(新潟・群馬・埼玉・茨城・栃木・神奈川・長野・石川・熊本)から北海道・本州・四国・九州へと、これまでにかなり全国網羅的な規模まで,授業記録の探索・デジタル資源化・調査分析を進展できたからである。第2に,その探索・収集した授業筆記録資源を,コロナ禍で文書館を訪問できない時期に於いても,これの収集資料を整理して読み解いて、当時の法令や指定教科書枠を超えた、教育現場の新実相を解明して、従来の科学実学教育史的知見のイノベーション的新展開に至りつつあることが,成果の蓄積をできた理由でもある。第3に,その解読しつつある科学教育史的真相と教訓解明を基礎に、能動学習(AL)型教育の日本的深化形成の過程を究明日本の流れと欧米の最先端教科書とを対比して,日欧米における相互の連関に関する包括的調査(コロナ禍中の史的資料のアーカイブス化と解読調査)を進めて,その集大成を目指しつつある。 このようにして,明治5年の学制から150年の時期を期して,明治以降の全国的な科学や実学分野の授業に関する授業記録や授業筆記の収録収集と解読に関する急進展例を数多く体験し,初期の目標を達成する見通しを得たことなどが,「本研究計画はおおむね順調に進展している」との進捗状況にあると評価することができる主たる理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本的創意工夫に富む日本型教科書や簡易実験による検証実験型授業の潮流、特に,中川謙二郎の『訓蒙化学』や,後藤牧太等の『小学校生徒用物理書』等で特徴づけられる理化学教育の新潮流は、世界的な強い関連を持った国際的なワグネル・手島精一の系譜へと新展開している。その日本的な科学や実学教育とワグネル系譜(手島・中川・三宅・後藤)他の潮流を,全国地域学会誌等で広く探索をして発掘した幾多の授業筆記を読み解く中で,その実相を探索して究明する調査研究を進展させる期待ができる。 こうした研究蓄積により,学制150年の節目にした全国の文書館他の貴重な授業筆記・教案筆記・試験記録類を網羅的体系的に発掘・収集・整理し,文書類の解読を集大成する。特に,授業筆記・試験答案・教案のような、教育現場の直接的な証拠で裏付け得るような,法令や教科書指定を超えた「科学や実学教育現場の史的実相」を解明・立証する先駆的で独創的な本研究を推進する。その際,コロナ禍中の遠隔授業に於いても成立させ得る教材開発事例としては,簡易実験検証型能動学習に適する現代的な簡易実験用なモノ作りの諸事例を,本研究成果として多数蓄積して来ている。それは,誰でも簡単に手に入る安価で近易な資材による簡易実験器具の自宅でモノ作りできるという,次の様な日本的なモノ作りを基礎に,「明治期の流体圧力をめぐる授業の今日的な圧力・浮力をめぐる教育内容への再構成」である。その様な「現代的に再創成した流体圧力教材の新展開」という研究成果を得ることが期待できる。 この具体例のように授業筆記集録を拡充・完備し,その解読を進めて日欧米の科学や実学教育の革新における相互連関を究明し,AL型学習法の国際的深化形成過程を解明する。その史的価値ある真髄や未完の教育内容課題を、電脳時代のICT・IoT基盤上のAL型理数工学授業として現代的に甦らせる方向で本研究を推進する。
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Causes of Carryover |
コンピューター環境を整える目的で予算を計上していたが、コロナ禍に於けるより有効なその使用目的の検討が残ったために,次年度までこの購入を保留したことが,次年度使用額が生じた理由である。 本年度の使用計画は,コンピュータを購入してオンラインでの円滑なコミュニケーション環境整備を含むコンピューター環境を整え,オンラインを交えたハイブリッド型の研究会や研究発表のために必要な物品を購入することなどが,本保留予算の使用計画である。
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Remarks |
新潟大学教育学部 理科教育学研究室のwebページでは,その中の研究内容(小林昭三)の頁において幾つかのリンク項目を通じて本研究の「研究内容・研究成果一覧」が紹介される。
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Research Products
(22 results)