2022 Fiscal Year Research-status Report
Studies on Physics Experiments using Smartphone for Online Class
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21K02954
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
安達 照 大阪工業大学, 教育センター, 教授 (70897107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石綿 良三 神奈川工科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00159790)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スマートフォン / センサー / 物理実験 / オンライン授業 / 物理教育 / 物理概念 |
Outline of Annual Research Achievements |
オンライン授業において、物理実験をどのように効果的に導入するのかが物理教育の課題の一つとなっている。我々は、学生が身近に使用しているスマートフォン(スマホ)を用いた物理実験を活用することとした。スマホを物理実験の測定ツールとするアプリケーション(アプリ)"Diracmaシリーズ"を開発し、オンライン授業であっても、実験室での授業と同様に、現象の本質に触れることができ、座学では得られない発見・知見が得られる新時代の物理実験教材開発を行ってきた。 海外での発表としては、今まで長年行ってきたスマホのアプリを開発しながら教育を行っていく新しい教育スキームについて、国際会議で報告した。これは、日本国内よりも海外の方が活発にスマホを用いた実験が行われているためである。また、物理概念を構築する新しい手法である鉄道模型とスマートフォンを用いた実験手法については、アメリカに論文投稿を行い受理されている(出版は次年度)。 国内での発表としては、スマホに接続された超音波センサーの応用実験として、運動量保存則の教材開発について報告を行った。スマホ内蔵のカメラを用いた運動の実験に関しても、授業への活用、卒業研究等を通じて、効果的な教材開発を行っている(次年度に発表予定)。さらに、スマホを用いた物理実験の教育効果についても研究を行ってきた。大学入学前の学生に対して、オンデマンド型オンライン授業に、物理実験動画を導入することで、その後の物理学習にどのような教育効果があることを明らかにした。論文投稿を行い、受理されている(出版は次年度)。 また、スマホを用いた物理実験の研究調査について、アメリカのThe Physics Teacherに掲載されたスマホを用いた論文の力学分野について、調査報告を行った(電子書籍)。さらに、今までのセンサーを用いた教育実践経験を活かした力学の教科書も出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スマホを用いた物理実験については、アプリ開発や高校や大学での教育実践も含め、10年以上の教育実践実績がある。これらの実績をもとに、授業で使いやすいように、スマホのアプリ開発を行っていく新しい教育スキームについて、American Association of Physics Teachers(AAPT)とThe International Conference on Physics Education(ICPE)に研究発表を行ってきた。スマホと鉄道模型を使った物理概念を構築する新しい手法についても論文投稿を行い受理されている(AAPT発行のThe Physics Teacher)。今年度は、本研究の教育上の評価も行ってきた。オンライン授業におけるスマホを用いた物理実験の効果検証に関する研究についての基礎的な研究発表を行った(日本物理教育学会での口頭発表、応用物理学会応用物理教育誌への論文投稿し受理されている)。この研究により、オンライン授業において、スマホを用いた物理実験が、その後の学習に効果的であることも明らかにした。また、新しい実験としては、超音波センサーを用いた運動量保存則に関する実験についても報告している(2022年度日本機械学会年次大会講演会)。 スマホを用いた物理実験に関する調査についても、The Physics Teacherに掲載されているスマホを用いた物理実験(力学編)については、電子書籍で出版を行った。他の分野にも調査を進めて、体系的に調査をまとめる予定である。 さらに、モバイル物理教育研究会も定期的に7回実施し、研究実施進捗や今後の展開について、議論を重ね、研究内容を発展させている。 以上のように、当初にたてた計画に概ね沿う研究発表、調査、評価等が行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
スマホを用いた物理実験で、加速度センサーや音センサー以外の応用アプリ開発(iPhone系スマホへの移植含む)がプロトタイプ段階であるため、これらの完成を行っていく。また、新しい物理概念構築法として、超音波センサーを用いた鉄道模型の実験において、新たなヒューマンインターフェースを開発して、より効果的な概念獲得のためのプロトタイプはほぼ完成している。実際に、教育で活用できるようにしていく。さらに、スマホのビデオ機能を使った加速度運動の物理実験についても、今までの授業における教育経験を活かし、中学や高校でも容易に使用できる新しい工夫・教材化を行っていく。今まで行ってきたオンライン授業における物理実験の教育効果については、昨年度の研究(オンライン授業におけるスマートフォンを用いた物理実験の効果検証)に引き続き、調査・研究を行っていく。 また、今年度は加速度センサーを用いた研究の調査報告を行ったので、他のセンサー(磁気センサー、ジャイロセンサー等)に関するスマホを用いた物理実験の調査(日本、米国他)を進めていき、新しいアプリ開発につなげていく。 さらに、高校や大学の教員(コロナ渦の影響で情報交換が遅れていたアメリカを中心とした世界の研究者含)との情報交換も積極的に行い、オンライン授業における効果的な教材・授業方法の開発を進めていく。
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Causes of Carryover |
新コロナウイルスによる緊急事態宣言があり、当初予定していた出張(特に海外での学会発表)ができなくなり、旅費の一部使用がなくなったことが第一の原因である。 使用計画:新コロナウイルスの影響緩和の状況を見ながら、学会発表、研究会などへの旅費に充てる予定である。
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Research Products
(7 results)