2021 Fiscal Year Research-status Report
技術者能力の評価指標「挑戦×技能×チームワーク=成果」の検証と科学教育への導入
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21K02958
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
床井 良徳 小山工業高等専門学校, 電気電子創造工学科, 准教授 (80572742)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フロー理論 / STEAM教育 / 創造的技術者 / 自己啓発 / チームワーク / モチベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
独立行政法人国立高等専門学校機構のモデルコアカリキュラム‐ガイドライン‐等を参考にして、思考の6段階に基づく全24項目における技術者能力の評価を行うためのルーブリックを作成した。作成したルーブリックを用いて、教員による学生評価、学生による自己評価を行った。学生による自己評価は、学生全員が使用可能なMicrosoft365のFormsを用いて、アンケート形式にて評価と集計を行い、データの解析や抽出を行い、学生の技術者能力の数値化を行った。本校で開講しているコラボワークⅡにおいて約200名の学生を対象に学生の教員による評価と学生の自己評価を行い、両者の間に相関関係がある事が確認され、本研究で提案する学生の技術者能力の見える化(数値化)に関して、ある程度の信頼性が得られたと考えている。しかしながら、相関から外れているケースもあり、評価手法に関して、さらなるブラシュアップが必要である知見も得た。 本研究で提案する「挑戦×技能×チームワーク=成果」を主軸とした教育手法に関して検討を行った。対象として、NHK高専ロボコンに出場する本校のロボコンプロジェクトに参画している学生、約30名を選んだ。普段のロボット製作活動において、フローモデル八分図にある心の状態に着目し、個々の学生にフロー状態になるように適した課題を与えながら指導を行った。その結果、夢中になって課題可決のためにチーム全体として、フロー状態の学生が増加し、チーム一丸となって夢中になって課題解決に取り組む様子が確認された。その結果、NHK高専ロボコンの活動においては、2020年に引き続き2021年の大会においても2年連続となる優勝さらには最も名誉ある賞であるロボコン大賞のW受賞を成し遂げた。この結果からも、「挑戦×技能×チームワーク=成果」による教育が技術者育成において重要である事が実証できたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目の目標である技術者能力の評価指標の検証に関して、技術者能力の評価を行うためのルーブリックを作成し、学生の教員による評価と学生の自己評価を行い、両者の間に相関関係がある事が確認され、本研究で提案する学生の技術者能力の見える化(数値化)に関して、ある程度の信頼性が得られたと考えている。同時に、相関関係から逸脱してしまう学生、つまり学生自己評価において、自己の適正値を過大評価もしくは過小評価する学生も確認された。この学生の多くが、保健室案件となっているケースが多く、心の面で不安定な学生であり、自己分析が難しく、様々な問題を引き起こす可能性が高く心の面でケアが必要である事を確認した。裏を返すと、本研究で提案した評価手法を用いて教、員目線と学生目線の双方で技術者能力を数値化する事で、心のケアが必要な学生の抽出も可能である知見を得た。またチームワークが苦手で支援が必要な学生に関して、本校、カウンセラーに相談し、綿密な連携を図ったが、チームワークそのものが困難かつ学習支援が必要な学生が、一定数以上いる事が分かり、チーム分けなどで工夫が必要であるという課題が残された。 コロナ禍の影響によりグループワークが難しく、当初予定した参画学生数が少ない状況であり、現在までのこところ約200の学生について技術者能力の評価を行っている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響により、グループワークが難しい状況が続き、当初の計画よりも参画学生が少ない状況であった。昨年度よりも、コロナ禍におけるグループワークの授業に関して緩和されており、昨年度よりも多くの学生に参画してもらえる予定であり、多くの学生を対象に本研究を進める計画である。 研究をする上で次の検討事項が現れた。コロナ禍の影響により、想像以上に課外活動の弱体化、コミュニケーション能力の低下が現れており、チームワーク力を緊急に伸ばす必要性がある状況である。同時に発達障害であるADHD(注意欠如・多動症)など支援を必要とする学生が増えている状況である。これらの学生に対しては、技術者能力の基礎力を構築するために欠如しているチームワーク力を補えるような教育を新たに考え別途指導し、本研究を遂行する計画でいる。 NHK高専ロボコンに参画している学生を対象に2年目の学生が多少の指導・助言でフロー状態に導けるか検証を行う。効果として、教員からの多少の助言で、フロー状態に入ることが出来る事、経験した学生による後輩への指導よる波及などを期待している。引き続き「挑戦×能力×チームワーク」マネジメント教育の検証を行う。
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Causes of Carryover |
本研究では、学科横断型の実験自習科目(200名:5名×40グループ)でグループワークを円滑に行うために、汎用性の高い、レゴ・マインドストームEV3を用いる予定であったが、廃盤となり購入が困難な状況となってしまった。そこで後継機であるレゴエデュケーションSPIKEを検討し、教材開発を行っていた。その結果、教材として使用する事が可能である知見を得て、昨年度購入できなかった残りの台数を購入し、学科横断型の実験自習科目を行う予定である。
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