2022 Fiscal Year Research-status Report
技術者能力の評価指標「挑戦×技能×チームワーク=成果」の検証と科学教育への導入
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21K02958
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
床井 良徳 小山工業高等専門学校, 電気電子創造工学科, 准教授 (80572742)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フロー理論 / STEAM教育 / 創造的技術者 / 自己啓発 / チームワーク / モチベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年(令和4)度、「挑戦×技能×チームワーク=成果」を主軸とした教育手法に関する技術者能力の評価に関して検討を行い、学生の技術者能力の見える化(数値化)は行えたが、更なるブラシュアップが必要である知見を得た。この結果を踏まえ、昨年度、作成した思考の6段階に基づく全24項目における技術者能力の評価を行うためのルーブリック中の文言を直感的にわかりやすい具体的な表現になるように修正を行った。 本研究で提案する「挑戦×技能×チームワーク」マネジメント教育に関して、昨年度、NHK高専ロボコンに出場する本校のロボコンプロジェクトに参画している学生に対して、教育を行い教育手法の検討を行った。その結果、適切な難易度の課題を出すことで、学生をフロー状態に導く事に成功し、全国大会にて2年連続という想定以上の成果を収め、本教育手法が、技術者教育において有意義な教育手法ではないかと結論づけた。この点を踏まえ、本年度は、実際の教育現場で活用できるように「挑戦×技能×チームワーク」マネジメント教育の構築を目指し、学生の教育を行った。今年度、ロボコンプロジェクトに参画した学生の技術者能力の自己評価を行った所、本校内の同学年の学生よりも能力が低い事が確認され、特に対人関係において低い結果であった。大会までの半年間、フロー状態に導くために、学生の心の状態を見ながら、適切な難易度であろう課題を与え、指導を行った。しかしながら、チームワーク力の伸び悩みや最後までやり抜く力が弱かった事も確認され、個人の挑戦、能力も共に伸び悩み、「成果=挑戦×能力×チームワーク」が示す通り、大会にて大きな成果を得る事が出来なかった。一番の要因として学生の気質やモノづくりの姿勢が挙げられるが、コロナ禍による学生間の自由な活動の制限も考えられるため、今後、本教育手法の構築のために要因を探る必要がある知見を得る事ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の目標である「挑戦×技能×チームワーク」マネジメント教育の構築に関して、NHK高専ロボコンに出場する本校のロボコンプロジェクトに参画している学生に対して、本研究手法による教育を行った。また2年目の学生が、教員からの多少の指導・助言でフロー状態に導けるか検証する事、経験した学生による後輩への指導よる波及を期待して研究を進めた。当初の予定では、多くのロボコン経験者が次年度のロボコンプロジェクトに継続して参画するケースが多く、本年度も多数のロボコン経験者を期待したが、数名に留まり、新しくロボコンプロジェクトに参画する学生が大半を占めていた。また、今年度、ロボコンプロジェクトに参画した学生の技術者能力の自己評価を行った所、本校内の同学年の学生よりも能力が低い事が確認され、特に対人関係において低い結果であった。そのため対人関係に関わるチームワーク力に注力し、フロー状態にさせるべく、学生の心の状態を見ながら、適切な難易度であろう課題を与え、指導を行った。大会までの半年間の指導を行ったが、チーム内が常にバラバラの状況で統率がとれず、チームワーク力の伸び悩みや最後までやり抜く力が弱かった事も確認され、個人の挑戦、能力も共に伸び悩んでしまった。結果として、昨年度の好成績とは裏腹に「成果=挑戦×能力×チームワーク」が示す通り、大会にて大きな成果を得る事が出来なかった。一番の要因として学生の気質やモノづくりの姿勢が挙げられるが、コロナ渦による学生間の自由な活動の制限も考えられるため、様々な観点で要因を探る必要がある知見を得た.。当初、予定していた期待していた成果とは真逆の結果となってしまったが、本研究で提案している教育手法を、現実的に活用するために改善しなければならない点が見えてきた点では、多少なりとも本研究の教育手法の構築に繋がったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度として、本研究で提案する「挑戦×技能×チームワーク」マネジメント教育を立証するために、ロボコンプロジェクト以外のコンテスト、例えばプログラミングコンテスト、デザインコンテストなどの参画学生に応用できるか検証を行う。昨年度に問題となったチームワーク力や学生の気質を改善する方策、保健室などと連携したADHD(注意欠如・多動症)を抱える学生への適切な指導や支援方法を検討し、実行に移す。同時に、本研究で提案する教育手法の問題点やイレギュラーな事などを引き続き抽出する。また、最長で3年目となる学生の成長のバラツキについて調査し、本研究の教育手法において能力が伸びる学生と伸び悩む学生の特徴を抽出し、教育初期における具体的な指導案を作成する。 結果として、各コンテストにおける成績、コンテストに至る過程での学生の能力向上を客観的な数値で示される技術者能力評価により数値により表し、科学技術教育において本研究手法の有用性について立証を行う。
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Causes of Carryover |
主に当初計画していた学会発表が、コロナ禍の影響でオンライン開催となり旅費の執行に差異が生じた。令和5年度に、学会発表や今年度、教育的な効果が確認されたレゴエデュケーションSPIKEの増強に使用する計画である。
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