2021 Fiscal Year Research-status Report
関数グラフアートの創作活動による関数学習への効果の調査
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21K02959
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
井之上 和代 福井工業高等専門学校, 一般科目(自然系), 准教授 (30332018)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 関数グラフアート / 関数の学習 / 主体的な学 / 教科横断型探究課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
「関数グラフアート作品の制作において、その着想や制作過程、数式の立て方、完成に至るまでの試行錯誤の様子を調査する」という目的のため、関数グラフアートを制作した福井高専学生(約200名)に、関数グラフアート制作を探究活動として実施し、作品提出時に①使用したデバイス、グラフ描画アプリケーション(以下、アプリ)、②用いた数式の種類と個数、特徴、③工夫した点、見どころ、④感想、⑤作品を構成するすべての式、を調査した。 この調査で、昨今グラフ描画できるデバイスとアプリが多様になったことが分かり、これらの違いと作品制作への影響を調査し、いずれのアプリも操作性の違いがほとんどないことが判明した。さらに、3年生1クラス分の作品について、制作に使用したデバイスとアプリ、構成する数式の種類と個数、特徴、使用したデバイスとアプリを2005年の3年生1クラスのものと比較し、15年間のデバイスやアプリケーションの進化により、学年進行に伴って増える関数に関する知識を、より作品の制作に活かせるようになっているということがわかった。これらの2点については、日本数学教育学会高専・大学部会論文誌に「関数グラフアート制作の変遷と関数学習についての調査」として報告した。 関数グラフアート全国コンテスト・関数グラフアートカンファレンスの実施については、コロナ禍の影響で第18回関数グラフアート全国コンテスト実施のみとなった。参加校は6校で約680名の生徒・学生が参加し、その中から17作品が全国コンテストで入賞した。全国コンテストへの応募作品についても、上記①から⑤について調査した。 また、第21回グラフ電卓研究会にて、関数グラフアートコンテスト報告」として、関数グラフアートとこれまでに分かっている学習効果の紹介と、第16回と第17回の関数グラフアート全国コンテストの総括について発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「関数グラフアート制作時の、着想、制作過程、特に数式の立て方、完成に至るまでの試行錯誤の様子を知るための調査」として、作品提出時①使用したデバイス、グラフ描画アプリケーション(以下、アプリ)、②用いた数式の種類と個数、特徴、③工夫した点、見どころ、④感想、⑤作品を構成するすべての式、を調査した。 関数グラフアート全国コンテストは実施することができたが、コロナ禍により関数グラフアートカンファレンスを実施することができなかった。そのため、関数グラフアートコンテスト入賞者による発表を聞くことで得られる調査の代替として、上記の①から⑤を全国コンテストへの応募者に対しても調査した。 以上の調査を元に、特に作品を構成するすべての式を分析する中で、(1)作品制作に使用されているデバイスやアプリケーションが、以前よりも多様になっており、これらの選択によって、作品の制作に影響が出るのではないか?(2)3年生の作品では、2005年度の調査と比較して、使用されている曲線の種類が変化しているという点に気づき、その理由は何か?と問題提起をし、令和3年度はこれらの調査分析を先に実施した。 結論として、(1)については、デバイスやアプリの違いによる作品制作時の数式の入力方法について、大異がないことがわかった。また、(2)については、2005年の調査以降のデバイスやグラフ描画アプリケーションが進化で、以前よりも学年進行に伴う関数の知識の増加を、作品制作時に活かすことができるようになっていることがわかった。 これらの点がクリアになり、今後は、上記①から⑤を元にした分析と、調査(聞き取り,アンケート)を準備している。
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Strategy for Future Research Activity |
「関数グラフアート作品の制作において、その着想や制作過程、数式の立て方、完成に至るまでの試行錯誤の様子を調査する」ため、特に、(1)第18回関数グラフアート全国コンテストの入賞者対象の調査と、(2)令和4年度実施予定の第19回関数グラフアート全国コンテスト参加者への調査、これらの分析を行う。 (1)では、アンケート調査のキーワードを抽出するため,福井高専の全国コンテスト入賞学生に対する聞き取りを行う.そのキーワードをもとに,第18回関数グラフアート全国コンテストへの入賞者,指導者に対してのWebアンケートを行う. さらに関数グラフアートカンファレンスをオンライン開催し,第18回関数グラフアート全国コンテスト入賞者のプレゼンテーションを実施し、聞き取りをする。「デザインの中の曲線をどのような関数や方程式を使って表すか(アートから数学的な表現への変換)」のように制作時の工夫、主体的な取り組みの具体例や,数学の学習への姿勢,制作者が感じた実践の効果などについて調査する。 (2)については、令和3年度と同様に作品提出時に①使用したデバイス、アプリ、②用いた数式の種類と個数、特徴、③工夫した点、見どころ、④感想、⑤作品を構成するすべての式、を調査する。(これらを、(1)でのWebアンケートと一括で行うことができないか検討する。)
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Remarks |
(1)には、関数グラフアート全国コンテストについて掲載。 (2)には、グラフ電卓研究会について掲載。第21回グラフ電卓研究会主催。口頭発表「関数グラフアートコンテスト報告」実施。
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