2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K02972
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
山本 恭子 神戸学院大学, 心理学部, 教授 (50469079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 昌紀 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (30467500)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 対人感情制御 / 非言語的行動 / 感情 / 表情 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,対人的感情制御としての感情の非言語的行動の役割を解明することである。本研究では,外的な感情制御,すなわち「自らの感情表出によって他者の感情を制御すること」に焦点を当てる。2023年度はコミュニケーション中の即時的な対人感情制御時の制御方略と非言語行動について,場面想定法による質問紙調査を行った。感情による差異についても検討を行うため,怒り,悲しみ,不安,喜び,緊張,焦りの6感情を設け,友人がそれぞれの感情を感じている場面を作成した。調査協力者に作成した場面を想像してもらい,その場面で使用するであろう対人感情制御方略と,その際の非言語行動について回答を求めた。対人感情制御方略と非言語行動の質問項目は,前年度の調査により明らかとなった項目であった。その結果,対人感情制御方略として「認知的サポート」「社会情動的サポート」「感情の増強」「注意の方向づけ」「敵意・否認」「チアアップ」の6因子が,非言語行動として「接触」「受容」「拒否・回避」「強調」「抑制・中立化」の5因子が見いだされた。これらの因子は前年度調査の結果を再現したものであり,頑健な結果であると考えられる。感情の種類により制御方略には差異があり,怒りは他者から否定的な反応を引き出しやすい,悲しみは気持ちに寄り添う方略が使用されやすいといった特徴が認められた。また,すべての感情で「受容」の非言語行動がよく用いられるが,その他の非言語行動は快感情と不快感情で異なることが見いだされた。今後は実験的研究により行動面から対人感情制御方略や非言語行動を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,前年度に変更した計画通りに場面想定法による調査を実施することができたため,おおむね順調に進展していると言える。本年度調査の結果,対人感情制御方略として「認知的サポート」「社会情動的サポート」「感情の増強」「注意の方向づけ」「敵意・否認」「チアアップ」の6因子が,非言語行動として「接触」「受容」「拒否・回避」「強調」「抑制・中立化」の5因子が見いだされた。これらの因子は前年度調査と同様であり,的確に対人感情制御方略とその際の非言語行動をとらえる質問紙を作成することができたと言える。また,制御方略や非言語行動の感情による差異も認められた。本調査結果は前年度の結果とあわせて学術誌に投稿中である。今後は作成した質問紙を利用して,後続の調査研究と実験的研究を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,対人感情制御における感情の非言語的行動の役割を解明することを目指す。対人感情制御に影響を及ぼすと考えられる要因として,感情制御要求の高さ,他者の感情強度,二者間の関係性に注目する。 研究1と研究2(2024年度前半に実施予定)では,ターゲットの感情表出(悲しみ・怒り・抑制)と感情の制御要求(高・低)が,制御者の感情制御方略や非言語的行動に及ぼす影響を検討する。実験手続きはPauw et al. (2019) を参考にする。対人感情制御方略の測定において,2022-2023年度に作成した対人感情制御方略の質問紙を使用する。研究1では言語的行動,研究2では非言語的行動を測定することで,自己報告による対人感情制御方略質問紙と対人感情制御中の言語行動や非言語行動との関連について分析を行う。 研究3(2024年度後半に実施予定)では,二者間コミュニケーション場面における対人感情制御の検討を行う。実験は2名1組でのペアで行い,参加者Aに感情喚起手続きを行った後,二者間での会話セッションを行う。会話セッションでは,参加者Bに参加者Aの感情を緩和する目標で会話するように教示し,このときの様子をビデオカメラで撮影する。また,対人感情制御方略の測定に,2022-2023年度調査で作成した質問紙を使用する。研究3はより自然なコミュニケーション中の対人感情制御を扱うことができ,知見の生態学的妥当性の高さにつながると言える。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,前年度の段階で研究計画に変更が生じ,調査を実施することとなり,当初計画していた実験を次年度での実施に伸ばしたことによる。このことより,実験参加者や解析協力者に対する謝礼は次年度への支払分に繰り越すこととした。また,学内業務との日程重複により,一部の学会をオンライン参加にしたこと,対面参加の学会が近隣であったことから,学会や打ち合わせにおける出張費用を抑制することにつながった。次年度使用額は,実験参加者や解析協力者に対する謝礼として支出する予定である。
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Research Products
(1 results)