2021 Fiscal Year Research-status Report
Data-driven appraoch to the organization of the social knowledge and its neural representation
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21K02980
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
岡本 正博 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90548976)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会的推論 / 社会的認知 / 人物知識 / テキストマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは日常的に、他者や自分自身についてさまざまな推論(以降、社会的推論と呼ぶ)を行う。その意味では、我々の脳はある種の推論装置であるとみなすことができる。しかしながら、「どのような情報が推論に用いられ」、「それらの情報がどのように脳で処理されているか」といた認知的な側面についてはいまだ不明な点が多い。本研究課題では、社会的推論の認知的な処理過程を明らかにするための研究を行っている。 研究の最初の段階では、社会的推論に用いられる情報の特性を明らかにする研究を行った。我々は他者の外見的特徴や立ち振舞い、話し方や話の内容ばかりでなく、出身地や職業、家族構成や交友関係、当人の持ち物、評判、過去に相手が取った行動の記憶といった様々な情報から、相手の意図、感情、性格特性などを類推し、相手の行動を予測する。過去の研究では、人物に関連するさまざま情報が相互に意味的に関連付けられ、いくつかの属性に集約されることが示唆されている。しかし、これらの研究は候補となる情報をひとつひとつ被験者に提示し、それらの意味的つながりを調べるものであり、膨大な情報の中から網羅的に意味的なつながりを調べるのは困難である。 2021年度の研究では、人物について自由記述されたテキストデータを大量に収集し、テキストマイニングの手法をデータに適用することで、意味的なつながりを網羅的に調べた。その結果、言動(動作表現)と特性格特性の意味的な関連を詳細に明らかにすることができた。この結果は、現在、査読付きの国際学術誌に投稿中である(プリプリントはすでに公表済み)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、社会的推論の認知的な側面に焦点を当て、「①どのような情報が推論に用いられているか」を明らかにしたうえで、「②それらの情報がどのように脳で処理されているか」を解明する計画である。研究課題1年目となる2021年度においては、①の目的はおおむね達成されたと考える(前項「研究実績の概要」を参照されたい)。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、社会的推論の認知的な側面に焦点を当て、「①どのような情報が推論に用いられているか」を明らかにしたうえで、「②それらの情報がどのように脳で処理されているか」を解明する計画である。①の目的は2021年度においておおむね達成された。次のステップでは、この結果を②につなげるために、①の結果をいくつかの自然言語モデルで記述する予定である。つまり、①の結果をもっともよく説明するベクトル表現を与える自然言語モデルを選出し、そのモデルを用いて脳活動を定量的に評価する。 また、当初の予定にはないが、他者に関する知識だけでなく、「自己」に関する知識表現についても同様の研究を行う予定である。先行研究では、他者認知にかかわる脳の領域が自己の認識にもかかわっていることが示唆されている。このため、今後の研究では、他者と自己の対比も検討していく。
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Causes of Carryover |
2021年度に購入予定だったデータ解析用ワークステーションの納入が、社会情勢によって大幅に遅れており、予定年度内に納入されなかったため、次年度使用額が生じた。購入計画をあとにずらして、2022年度の予算として購入する。
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