2023 Fiscal Year Annual Research Report
Data-driven appraoch to the organization of the social knowledge and its neural representation
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21K02980
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
岡本 正博 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90548976)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 対人認知 / 認知次元 / 自然言語 / 自己 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では「自由記述による人物評定」と「符号化モデル」を組み合わせることで、他者や自己に関する情報の認知的および神経科学的表現様式を定量的に明らかにすることを目的とした。前年度までは他者に関する情報に重点をおいて、人物関連知識の抽出と脳内表現の性質を調べた。まず、アンケート調査によってえられた自由記述文の解析から、他者の性格を認識する際の3つの枠組み(「親しみやすさ」「外向性」「責任感」)とそれぞれに関連が強い動作表現を抽出した。つぎに、抽出した性格特性と動作表現の意味的関連性の度合いを心理実験によって検証し、両者の間に非対称性があることを確認した。さらに、関連する脳活動を機能的磁気共鳴画像法によって計測し、前頭葉から側頭葉にかけて関連した脳活動がみられた。これらの脳活動を、他者のエピソードから得られた多次元特徴量でモデリングしたところ、側頭葉の前部や前頭前皮質を中心に、他者の認知に関係するとみられる脳活動がみられた。 最終年度では、自己と他者の違いに着目し、上記の知見を拡張することを試みた。自己と他者の認知構造の関係を明らかにするために、人間関係の近さが他者と自己の認知的な類似性にあたえる影響を調べた。人間関係の近さは“Inclusion of Other in the Self Scale (IOS scale; Aron et al., 1991, 1992)”を用いて測定した。他者および自己への認識は前項までと同様に自由記述分から抽出した。とくに、特性(抽象的な知識)と行動(具体的な知識)に着目し、それぞれにおいて他者-自己間の類似度を計算した。それぞれの類似性を被説明変数とし、IOS の程度 (高 IOS と低 IOS) を説明変数として、多変量共分散分析を行ったが、有意な差は検出できなかった。
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