2023 Fiscal Year Research-status Report
なぜ戻り、どのように復興しようとしているのかー原発被害者の帰住に関する研究ー
Project/Area Number |
21K02982
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Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
水田 恵三 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (70219632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 竜輔 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (30512157)
大沼 進 北海道大学, 文学研究院, 教授 (80301860)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 原発災害 / 原発復興 / 浪江町 / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目にあたる本年は、昨年度に引き続き、浪江町に帰郷している方を対象にインタビュ―調査を行った。昨年の研究概要にも記したが、浪江町から集団で避難した二本松市において復興に尽力された方が、浪江町で障がい者雇用を中心とした喫茶店を経営しておりそこが浪江町帰還者の拠点となっている。さらにそこには「浪江スクール」というコミュニティを形成して、地元への帰還者を含めた関係人口の増加に効果をあげている。インタビューの例を挙げると、浪江町に移住し、様々な人々を紹介しているBさん。二本松市安達仮設の2代目自治会長を務めたHさん。福島原発事故被害訴訟団長のS さん、請戸漁港の組合員の方々さらに、帰還困難区域の中で、復興拠点に指摘された津島地区の復興を農業を中心として復興しようとしているIさんなどである。その中でも、処理水の影響で風評被害に悩まされていると予想されていた漁業者がいわゆる「請戸もの」(浪江町請戸で取れた魚など)に誇りを持って、収穫し、販売している漁業者に感銘を受けた。 帰郷した方たちにインタビューして感じた点であるが、人々は故郷への強い思いや、コミュニティを再形成しようとする地域は強い。その点で、浪江スクールや浜通り地域デザインセンター浪江の活動は貴重なものであり、今後も活動を見守りたい。 また、浪江町は移住者が比較的多いことで知られているが、移住者と帰郷者が交流してコミュニティを形成していくことも両者のために必要である。 上記インタビュー調査と並行して、浪江町や南相馬の文化に触れるうちに、復興の文化的背景として相馬仕法(江戸時代の篤志家二宮尊徳が始めたもので、至誠・勤労・分度・推譲を原理としている。飢饉に備える復興政策である)がある点を論文としてまとめた。原発災害後のコミュニティ形成に関する研究 ―福島県浪江町を中心としてー (尚絅学院大学研究紀要2024年6月出版)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、想定された対象者のインタビュー調査とその文字起こしは終了している。今後文字起こしのデータを文章化し、調査対象者に見ていただく作業と、同時並行的に質的分析を行い、浪江町に戻る方の経緯や特徴を分析する。
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Strategy for Future Research Activity |
データの収集は終了しているので、インタビュー記録を対象者に見ていただき、修正した上で分析及び報告書の作成(印刷)を急ぎたい。
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Causes of Carryover |
インタビュー記録を対象者本人に戻してみていただく必要があるため。
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