2022 Fiscal Year Research-status Report
認知バイアス総合アセスメント尺度に基づくヘルスプロモーションプログラムの開発
Project/Area Number |
21K02986
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
高比良 美詠子 立正大学, 心理学部, 教授 (80370097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 まさみ 十文字学園女子大学, 教育人文学部, 教授 (00334566)
森 津太子 放送大学, 教養学部, 教授 (30340912)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知バイアス / 尺度作成 / ヘルスプロモーション |
Outline of Annual Research Achievements |
判断や記憶など,認知機能全般において生じる歪みである 認知バイアスは,個人のWell-beingに影響を及ぼすことが明らかになっている。なお,このような認知バイアスは,文化や世代などを超えて多くの人に普遍的に見られるが,その一方で,個々の認知バイアスを経験する程度には個人差が存在するという指摘もある(e.g., Krueger, 1999)。しかし,このような個人差の検討はそれぞれの認知バイアスで個別に行われており,個人差の問題をバイアス全体として整理するまでには至っていない。 そこで本研究では,代表的な80種類の認知バイアス経験の個人差を一括して測定可能な「認知バイアス・アセスメント尺度(CBA)」の開発を行うことを研究の目的とした。この尺度により,個人が経験する認知バイアス経験には特定のパターンがあることを明らかにする。 当該年度においては、インターネット調査会社(楽天インサイト)が保有する全国登録モニターの中から,20~50代の有職者の男女計1200名に対して調査を行い,CBAに含まれる80種類の認知バイアスを,それぞれ何割程度の人が日常的に経験しているかについて検討した。また,これらの80項目に対して因子分析を行い,個々の認知バイアス経験の背後にある共通の因子を抽出した。その上で,尺度の信頼性と妥当性についての検討を行った。さらに,1200名のサンプルの内,400名に対して2回目の縦断調査を実施し,認知バイアスとウェルビーイングおよび個人属性との関係について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では,2022年度に,新たに「認知バイアス・アセスメント尺度」を開発し,尺度の因子ごとに,認知バイアスの生起プロセスとその帰結をモデル化することを予定していた。 そのため,2022年度は,「認知バイアス・アセスメント尺度(CBA)」の開発を行うとともに、縦断調査により認知バイアス・アセスメント尺度の下位因子と,その帰結である総合的な健康状態(Well-being)の関係について検討を行った。また、認知バイアス・アセスメント尺度の各下位因子と個人属性の関係について検討することで、個人の資質と認知バイアスの関係についても検討を進めた。そのため,現在までの進捗状況としては,「(2)おおむね順調に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初に立てた全体計画に沿って,今後の研究を推進していく。2023年度は,行動指標を用いて個人が示す認知バイアスの程度を測定し,認知バイアス・アセスメント尺度得点との関連性を検討する。これにより,尺度の妥当性についてさらに検証を進める。また,認知バイアス・アセスメント尺度の下位尺度得点に基づいて個人をタイプ分けし,タイプ別に介入が必要な問題点を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2022年度は,認知バイアス・アセスメント尺度の作成と信頼性および妥当性の検討を行ったが,尺度の有用性をさらに高めるために,追加データの取得が必要になった。そこで,次年度使用額を,翌年度分として請求した助成金と合わせて新たに調査を実施し,尺度の信頼性および妥当性に関する分析を継続して行う予定である。
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Research Products
(2 results)