2021 Fiscal Year Research-status Report
海外移住者の自己形成についての対話的自己理論からの検討
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21K02990
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
石盛 真徳 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (70340453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DEALMEIDABELEM IGOREMANUEL (DEALMEIDAIGOR) 追手門学院大学, 基盤教育機構, 特任助教 (40868139)
中尾 元 追手門学院大学, 経営学部, 特任助教 (70846485)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 移住者 / ライフストーリー / 複線径路・等至性モデル / 写真投影法 / 心理的文化変容 / 自叙写真法 / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度の2021年度は、まずどのような調査手続きで、海外移住者の自己形成についての調査を実施するのかについて、研究申請段階でのプランを基に、研究プロジェクトのメンバーでより具体的に検討を行った。その結果、移住先での自己形成のあり方について把握するために「自分を表現する」20枚の写真を撮影してもらう自叙写真法を採用することとなった。また、出身元の文化および移住先の文化の双方の影響がみられる食事の内容についても写真撮影を依頼し、分析対象とすることにした。そして、それらの写真を見ながら、ライフストーリーの聞き取りを実施することとした。 また、具体的な調査協力者として、どの国に在住する、どの国からの移住者を選定するのかについても検討を行った。調査協力者としては、日本出身のアメリカ合衆国在住者、日本出身のニュージーランド在住者、ブラジル出身の日本在住者に協力依頼を行うこととなった。これらの研究内容の実施については、追手門学院大学研究倫理委員会の承認を得た。 2021年度はコロナ禍の影響で多くの調査協力者に対面での調査を実施することが困難であったため、パイロットスタディとして、ブラジル出身の日本在住者1名に調査を実施し、採用した調査方法の妥当性の検討を行った。その結果、自叙写真法、食事の撮影、ライフストーリーの聞き取りという3つの調査方法を合わせて実施することで、質的に深く移住者の自己形成について把握できる可能性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため対面でのインタビュー調査の実施が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度の研究の遅れを取り戻すべく調査を研究計画に従って実施する。具体的には、日本在住のブラジル人移住者、アメリカおよびニュージーランド在住の日本出身者を対象に、自叙写真法による調査を実施する。本研究の自叙写真法法では、調査協力者に1週間程度の期間、自宅、職場、学校、外出先等において、「自分を表現する」20枚の写真(家族、友人、大切なもの、気になるものなど)の撮影を実施してもらう。加えて、調査協力者には平日の2日分と週末の2日分の食事の写真撮影も依頼する。そして、それらの写真に基づき、ライフストーリーの聞き取りを実施する。ライフストーリーの聞き取りは、「移住することになったきっかけ」、「自国での職業経験」、「移住先での勉強・仕事」、「初めて移住先に来たときの印象」、「移住先での生活で困ったこと・楽しいこと」、「今後の長期的な生活プラン」等について尋ねる半構造化面接法とする。それらの調査により得られたデータの分析には、個人の人生を時間と共に描くことに適した方法論である複線径路・等至性モデル(Trajectory Equifinality Model: TEM; サトウ, 2009; 安田・サトウ, 2012, 2017)を用いる。そして、得られた研究成果については心理学関連の学会において発表する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、コロナ禍の影響により調査実施が遅れたためである。 次年度使用額は、2022年度分の科研費と合わせて、調査実施のために必要な費用(研究協力者への謝金・文字起こし業者への委託費等)に使用する予定である。
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