2023 Fiscal Year Research-status Report
海外移住者の自己形成についての対話的自己理論からの検討
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21K02990
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
石盛 真徳 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (70340453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DEALMEIDABELEM IGOREMANUEL (DEALMEIDAIGOR) 京都大学, 人と社会の未来研究院, 講師 (40868139)
中尾 元 追手門学院大学, 経営学部, 講師 (70846485)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ライフストーリー / 複線径路・等至性モデル / 心理的文化変容 / 移住者 / 自叙写真法 / 食事写真法 / アイデンティティ / 対話的自己 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2022年度に収集したニュージーランド在住の日本人移住者9名(男性3名、女性6名)およびブラジル人移住者8名(男性2名、女性6名)のデータ分析を進めた。ニュージーランド在住の日本人移住者を対象にした研究については、日本質的心理学会第20回大会において報告を行った。報告では、各調査協力者のライフストーリーに関する複線径路・等至性モデルによる分析の結果、ニュージーランドへの日本人移住者にとって移住が共通な必須通過点となっているが、かなり幅広い移住プロセスとライフストーリーの多様性が確認されたことについて説明した。そのような移住プロセスの多様性には、「2カ国以上での移住生活の経験」、「就業・起業を目的とした移住」、「職業の専門性を活用しての移住」、「出生時の国籍が日本でないこと」、「第2の人生としての移住」、「移住を目標とする日本人配偶者との出会いによる移住」、「移住後のシングルペアレントとしての子育て経験」など、個人の移住動機や移住後のライフイベントの多様性が影響要因として関与していた。 また、日本在住のブラジル人移住者6名(男性2名、女性4名)に対して、自叙写真法、食事の撮影、ライフストーリーの聞き取りという3つの調査方法を組み合わせた方法を用いて調査を実施した。ブラジル人移住者の調査については、ポルトガル語を母語とする研究分担者が担当し、録音から逐語録を作成し、現在分析を進めている。英国在住の日本人移住者1名についてもライフストーリーの聞き取り調査を実施し、複線径路・等至性モデルによる分析を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニュージーランド在住の日本人移住者を対象にした研究については学会で研究発表を行い、ブラジル人移住者については分析を進めることができた。さらに、日本在住のブラジル人移住者についての調査も進めることができた。これらの理由から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
収集したデータのうち、ライフストーリーについては、引き続き、複線径路・等至性モデル(Trajectory Equifinality Model)による分析を行う。それとともに自叙写真法により収集された20枚の自己を表現する写真、および食事の写真についてもカテゴリー化を行い質的な分析を進める。そして得られた成果については、心理学関連の学会において研究発表を行う。また、日本在住のブラジル人移住者や英国から日本に帰国した日本人移住者等についてもライフストーリー等の聞き取り調査を実施する。
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Causes of Carryover |
一部の調査参加者に対する調査の実施が年度末となったため、逐語録作成の外注が次年度へ持ち越しとなった。2024年度は、持ち越しとなった逐語録作成の外注を行うとともに調査の旅費等の必要な研究費を使用する予定である。
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