2021 Fiscal Year Research-status Report
Psychological Study on Cultural Adaptation of Japanese in China
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21K02991
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
毛 新華 神戸学院大学, 心理学部, 准教授 (90506958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 寛之 神戸学院大学, 心理学部, 教授 (30202112)
木村 昌紀 神戸女学院大学, 人間科学部, 准教授 (30467500)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 文化適応支援 / 在留邦人 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,中国の在留邦人の文化適応への心理支援のありかたを探るとともに,日本と中国の文化適応理論の拡張を図ることである。この研究全体の目的を実現するために,初年度において,中国に滞在する日本人の異文化適応課題を明らかにするために,探索的調査により日本人の日本文化と中国文化の違いに対する認識と意識に関する基礎データを得ることとした。なお,初年度の研究は過去に実施していた既存のデータを本研究計画の目的に沿って再検討して論文化したものである。 中国の4つの都市に滞在する在留邦人53名を対象に,日本人の中国人との対人関係の観点から,日本人が認識している中国人の対人関係の特徴を引き出す3つの質問(質問1. 対人関係で中国人が日本人と異なっている点,質問2.中国人があなたを困らせた点,質問3. 中国人の対人関係の特徴)を設けて,箇条書きで回答を求めて,自由記述調査を行った。 得られた記述内容は,KJ法を用いて整理した。各質問に対して類似した記述をSmall Category(SC)とし,意味の似たSCをMiddle Category(MC)とした。また,3つの質問を横断的に整理することで共通のSCおよびMCを整理・統合した後,複数のMCを縦断的に吟味し,上位概念的なカテゴリー(Big Category:BC)を4つを抽出した。具体的には,ユニークな制度やライフスタイルなど2つのMCが「社会制度・生活スタイルの側面」,自己中心的な強い自己表現など4つのMCが「気質・性格的側面」,プライバシー無視など9つのMCが「対人的側面」,責任感の欠如など2つのMCが「仕事的側面」を構成している。 これらの結果を社会生態学的な観点,そして,記憶との関係について考察された。今後,本研究の結果をもとに大規模な調査を実施し,中国に滞在する日本人の異文化適応課題の構造を実証的に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目に,質的調査で得られた結果を基に,大規模な量的調査を実施し,中国に滞在する日本人の異文化適応課題を構造的に解明することも計画していた。しかし,新型コロナウイルス感染症の影響により,中国への渡航や対面のことが制限されているため,この計画は実現できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として,研究計画書に沿って,以下のように研究を展開する。 「現在までの進捗状況」で言及した「大規模な量的調査」をオンライン調査などの手段を用いて完了させる。それによって明らかにした在留邦人の具体的な「困惑」を材料に,日本人が中国人との関わりの中で,言語・非言語の使い方の違いによる日本人が誤解する/される場面(中国人の視線の多さに怒っていると日本人が誤解する,日本人の笑顔を中国人が見て賛同と誤解する,など)を特定する。その上で,企業のどの対人場面 (e.g. 賞賛,指導,対立,親和など)でこのような齟齬が起きるかを想定し,相川(2009)のSSTの基本的な流れに沿って,その場面で誤解が起きる時の対応・処理のシナリオを用意し,1分間のロールプレイモデルを示す映像を作成する。このようなモデルを,想定される現場の数だけを作成する。複数の映像をまとめて,企業向けのSSTPacとして開発する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により,初年度の計画は未実行の部分があったため,次年度使用額が生じた。次年度に,業者委託などを通して,オンライン調査を実施するなど,その額を使用する予定をしている。
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