2023 Fiscal Year Annual Research Report
中堅教師の専門性発達と異動の関係:個人の意識,職場環境,研修の3側面からの検討
Project/Area Number |
21K02995
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
東海林 麗香 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90550749)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教員の学校間異動 / 教員の専門性発達 / 中堅教員 / 対話 / ナラティヴ |
Outline of Annual Research Achievements |
公立学校教師に異動はつきものであるが,異動がメンタルヘルスに負の影響を及ぼしうることが指摘されてきた。異動を教師としての専門性発達の機会とするには,どのような「教師の意識」「教師への支援」が必要だろうか。学校においてミドルリーダーの育成が重要課題とされていることから,特に中堅層を対象とした検討は急務である。本研究ではこのような問題意識からインタビュー調査およびアンケート調査を行い,①教師の異動の経験と専門性発達の関係,②異動を専門性発達の機会として経験するための組織・同僚性,③異動を専門性発達の機会とするための研修・講習プログラム,について検討することとした。 令和5年度は,上記②③について検討をするため,現職教員を参加者とした学習会を5回開催した。この学習会はオープンダイアローグを理論的背景として令和3年1月より始めたものであり,令和3年度には3回,令和4年度には11回実施した。学習会に参加した感想や要望を尋ねたアンケートも行った結果,学校・地域・校種を超えて対話をする機会へのニーズが高いことが明らかになったが,一方でオンライン開催としたり平日夜間や休日の開催としても参加が難しいという,教員の多忙さが改めて浮き彫りとなった。 研究期間全体を通じ,異動は経験豊富な中堅教員にとってもストレスや困難をもたらす可能性が高いものであり,それに一人で対応しているケースも多くあることが明らかになった。また,ストレスや困難により休職・離職に至るケースを防ぐために,学校・地域・校種を超えたしがらみのない場で自身の困りごとや弱さについて語れる機会を設けることや,異動者の困難を知る機会を管理職研修等で設ける機会の必要性が明らかになった。
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