2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K02996
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
水口 崇 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (60412946)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 視線追従 / 身振り / 言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,新型コロナ感染の拡大により,実験用の素材作りができなかった。そこで,模倣の基礎を為す視線追従に関する実験を行った。視線追従の実験は,視線の方向のみでなく眼のデザインを変容することによって視線追従の影響をどの程度受けるのか検証した。さらに,模倣と関連する身振りと言語について理論的な展望論文を執筆して,理論や学説の精査を行った。具体的には,模倣を可能とする意図の推察やそれを成立させた他者との協力を取り上げた。そして,古代エジプト時代から言語の起源を調べていたこと,現在に至るまで2000年以上の長きに渡って言語の起源が研究されていることを論じた。その上で,近年トルコ語がインド・ヨーロッパ語族の起源であることが判明したこと,その言語が伝播することから農耕,宗教における犠牲の精神,他者との協力が生じたことを論考した。そして,神経心理学の立場から,言語の起源が身振りであると主張する学説を検分した。神経科学や古代の骨の分析結果を踏まえて,身振りから言語が生じたことを取り上げた。また発達心理学の理論から,大型類人猿は身振りによるコミュニケーションを行うが,ヒトは特別な精神機能を有するため,言語の整備したことを取り上げた。それらに共通する点が,協力であることを論じた。そして,身振りは模倣によって伝播することも議論した。このような理論的なフレームを整えることによって,以後の実験の着眼点や独創性を高めていくことに注力した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は実験素材の作成とその予備的実験の実施であった。これを実際に行う時期に新型コロナウイルスの感染拡大が生じたため,実施に遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
実験素材の作成は確かに遅延した。しかしながら,今後の研究を進めるにあたって不可欠となる国外の理論や実験論文を検分して,よりラディカルな実験を構想することが可能となった。既に実験を実施するための準備は進めており,遅延部分を取り戻す予定である。
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Causes of Carryover |
まず,学会に参加しにくい社会情勢であったため,予定していた旅費を使用しなかった。また本格的な実験に至らなかったため、実験機材の購入,実験関係の人件費等使用しなかった。これらの理由が使用額に変化を生じさせた。
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