2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K02996
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
水口 崇 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (60412946)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 道具 / 模倣 / 文脈効果 / 行為の結果 / 幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
文化的所産の典型の一つに道具が挙げられる。我々は道具によって身体機能を拡張して生産を増大させてきた。そして現在のような文化的な生活を享受可能となった。文化的所産の学習において模倣は重要な意義を持つ。模倣学習は極めて初期から出現し,以後文化学習の基盤として一定の役割を果たし続ける。動作モデルを正確に再実演する上で,March et al.(2020)は文脈効果を報告している。具体的には,特定の要素を視覚的に強調する手続きにより,当該要素が正確に再現される。しかしながら,彼らの実験では,強調を行わない統制条件が設定されていないため,効果の実在が不明確である。また一連の行為が提示動作とされていなかった。そこで本研究では,文脈効果の生起メカニズムをさらに検証した。幼児36名を対象として提示動作の模倣を求めた。提示動作は、右or左手(HA)を使って道具を右or左回し(TR)にして、右or左の中継点(RP)を通って、右or左側の到達点(EP)に行く、といったものである。体系的に組み合わせて16種類の動作が設定できる。さらに中継点や到達点を強調する条件を設定した。到達点強調では,強調したEPの正答数がHA,TR,RPより高かった。中継点強調条件では強調したRPはTRより正答数が高いのみであり,EPやHAとは差がなかった。強調無し条件ではRPとEPがHAとTRより正答数が高いことが示された。以上を考えあわせると,文脈効果が得られるのはEPであると考えられる。文脈効果には行為の結果に着目しやすいヒトの認知の特徴が関与していることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの流行に伴って3年次に実施する予定の幼児の実験が遅延している。年に2回の予定であったが、1回のみの実施となっている。幸い今回の実験結果は仮説を支持する結果傾向を示している。このため、大きな遅延とはなっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
仮説と類似した結果が得られたため、実験自体の遅れには至っていない。但し、それを分析・考察して論文として投稿するプロセスのスケージュールに余裕のない状態にある。この点は通常通りのペースで進めていく。その代わりに、次年度予定している実験を迅速に進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスによってやや実験に遅延が生じたこと、感染拡大中に学会発表を中止したことによって次年度使用が生じた。次年度に,実験場所に通う旅費や学会に参加するための旅費等として使用する予定である。
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