2022 Fiscal Year Research-status Report
社会経済的支援が必要な家庭における幼児のアタッチメント特徴の検討
Project/Area Number |
21K03000
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梅村 比丘 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80805325)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アタッチメント / Strange Situation / ストレンジ・シチュエーション法 / アタッチメント・Qソート / 愛着 |
Outline of Annual Research Achievements |
欧米の研究によると,問題のある子どもの発達と最も関連が高い親子のアタッチメント(愛着)は,低所得やひとり親の家庭において高い傾向にあることが示されている。しかし,日本を含むアジアの国々におけるこれまでの研究は,アタッチメントの問題の少ない,社会経済的に一般的な親子の研究のみに限られていた。本研究は,日本においてこれまでおろそかであった低所得世帯や,低所得と相関の高いひとり親世帯の親子のアタッチメントの理解を深めることである。 2021年は,参加者の募集を開始した。研究代表者の所属する大学のある市のほぼ全世帯にチラシを配布し,3世帯から連絡を得た。次の年度からも引き続きチラシの配布を継続することで,少ないが研究に参加してもらえる世帯があることが確認された。 2022年度は,低所得やひとり親の家庭からデータを収集することができなかったため,家庭を限定せずに参加者を募集した。そのため8世帯に対して調査を実施した。2021年と合計して11世帯に対して調査を完了したことになる。 調査は,実験室場面における親子のアタッチメントの問題を評定する観察方法として開発されたStrange Situation Procedure (SSP) と,家庭場面における親子のアタッチメントの問題を評定するアタッチメントQソート法という観察方法を実施した。また,今後,母親の行動を評定するために,ビデオ撮影も行った。母親からは,子どもの情動と行動の制御に関する質問紙調査にも回答してもらった。 また,本研究は,欧米との比較に焦点を当てることを重要視しているため,幼児がSSP中にどれだけ泣いているかということを検討した。既に実施・発表済みの日本と韓国のデータを入手し,評定を行い,アメリカの研究データと比較した。この国際比較研究は,国際学会(International Attachment Conference)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度の研究スケジュールは, 自治体・教育機関・医療機関・商業施設・メディアに研究の参加者を募集し,研究を実施することであった。自治体や教育機関とのつながりはできたものの,低所得やひとり親家庭の参加がなかった。そのため,低所得やひとり親家庭に限定せずに,広くどの家庭からも調査に参加してもらうことにし,多様な家庭を調査することにした。この変更により,本研究は少しの遅れだけにとどまることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降も,引き続き,低所得やひとり親家庭だけに限定せずに,広くどの家庭からも調査に参加してもらい,多様な家庭から調査を実施する予定である。また,文化比較の調査についても実施し,広く親子のアタッチメント発達について理解するために研究を進める。
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Causes of Carryover |
2022年度は,調査の参加者が想定していた数より少なかったため助成金の使用額が予定よりも低かったことが主な原因である。2023年度以降に,これまで予定していた調査も実施することで助成金を使用する計画である。
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Research Products
(4 results)