2023 Fiscal Year Research-status Report
ワーキングメモリ理論に基づいた児童生徒の読み書き算数困難の原因解明と支援
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21K03001
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
湯澤 正通 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (10253238)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ワーキングメモリ / 発達障害 / 教育 / 児童 / 学習 / 読み書き / 計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1)ワーキングメモリ理論に依拠し、個別の児童生徒が抱える読み書きの困難や算数障害の原因を特定化するためのテストバッテリーを開発し、読み書き困難や算数障害の原因を体系的に明らかにすること、2)読み書きや算数の学習に遅れや問題を抱える児童生徒の原因に応じて、トレーニングを行い、その効果の有無を明らかにすること、であった。今年度は、目的2に関して、21年度に開発したトレーニングプログラムをワークシートにまとめ、書籍として出版した。書籍は、第1部と第2部から構成された。第1部は、音声情報(言葉)の記憶と処理のワークを行うことで、言語的知識の獲得を促すことをねらいとした。小学校入学前、子どもは、言葉遊びなどを通して、言葉を意識的に考え、言葉を構成する音に文字があることに気づき、それを小学校での文字の学習につなげる。ワーキングメモリに弱さがあったり、幼児期の遊びの経験が不足したりすると、言葉を意識に考える力が育たず、小学校入学後、文字の読みの学習に遅れや困難が生じる。第1部では、ワークを行うことで、言葉を意識的に考え、文字や文を読む力を育てる。第2部は、イメージの記憶と処理のトレーニングを行うことで、文字や数量の知識の獲得を促すことをねらいとしている。かな文字や漢字は線や形のパーツの組み合わせから構成されている。線やパーツの知識が増えると、その組み合わせによって、漢字などの文字の学習が促される。まず、文字を構成する線や形を認識し、書くワークを行い、その知識の身につける。他方、算数に関しては、対象の数のイメージを把握したり、操作したりするワークを行い、数量の知識の獲得を促し、算数の学習を支援する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の2つの目的に関して、2023年度は、目的 2)の成果をまとめた書籍を作成し、出版した。
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Strategy for Future Research Activity |
2)の目的のうち、2023年度に出版した書籍のワークシートを公立の小学校で実施し、その効果を検討することが今後の課題であり、2024年度の予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で、小学校での研究の実施ができなかった。2024年度に研究を実施の予定であり、そのときに使用する計画である。
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