2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the actual situation and factors behind refusal to survey cooperation
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21K03004
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Research Institution | Ibaraki Christian University |
Principal Investigator |
黒澤 泰 茨城キリスト教大学, 生活科学部, 講師 (00723694)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 調査 / 回収率 / 拒否率 / 中断率 / Leverage-Saliency Theory / Hard-to-Survey / 調査への協力拒否 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のリサーチクエスチョンは、“なぜ人は調査に協力するのか/しないのか”である。本研究の目的は“どの程度、調査への協力が拒否(中断)されるか”“どのような理由で、調査への協力が拒否(中断)されるか”という調査への協力拒否(回答中断)の実態とその要因を解明することである。
当該年度において、関連領域の先行研究をレビューしながら、理論を精査し、知見をまとめた。その中で、1) 調査の各段階で生まれるバイアスは研究知見や研究知見から導かれる示唆に影響を与えうること、2) 調査において設定されたトピック自体がある種の特性や背景を持つ回答者の回答を誘引する可能性があること、3) Leverage-Saliency Theoryは調査における無反応を考える上で有効な理論であること、4) 調査参加につながるインセンティブや調査協力拒否につながる要因、そして、それらの重み付けを解明する必要があること、5) 調査実施において、Hard-to-Survey(調査困難)という視点を考慮することが重要であることが導き出された。
さらに、当該年度において、研究遂行プロセスに付随する現象について企画を開催した。研究代表者が企画者となり、二つ以上の指標を組み合わせること(複数指標同時測定)に関する自主シンポジウム、及び、調査実施における困難(Hard-to-Survey)を構成する要素、その弊害、克服の方法に関するラウンドテーブルを開催し、関連領域の専門家やフロアを交えて議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は当初予定していた予備調査は行えなかったが、1) 本研究の拠ってたつ理論や本研究が射程とする現象に関する企画を日本心理学会第85回大会(自主シンポジウム)、発達心理学会第32回大会(ラウンドテーブル)にて開催することができたこと、2)関連領域のレビュー論文(茨城キリスト教大学大学院生活科学研究科紀要8巻掲載)を執筆できたこと、3)予備調査の研究計画に関して倫理審査委員会に申請し、承認を得たこと、から一定の進展はあったと判断した。
本研究に関しては、関連領域の専門家からの研究計画や研究推進に関する研究コンサルテーションも適宜受けており、次年度に向けた準備も進んでいる。これらを総合的に判断し、現在までの進捗状況を(2)おおむね順調に進展している と判断したい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度中に調査会社に委託してウェブ調査を行い、調査への協力拒否(中断)の実態とその理由についての回答を集め、それらの回答と背景情報(e.g. 年代、性別、社会経済変数)を関連づけ、傾向を見いだす。なお、予備調査では、ウェブ調査へ回答する調査対象者から協力拒否(回答中断)の経験とその理由についてのデータを得る予定である。
本調査においては、予備調査の結果を踏まえて、協力拒否(回答中断)の実態を明らかにすることを目的とする。本調査においては、調査が配信された段階で調査に協力しない調査対象者、および、途中で中断した調査対象者に対してその理由をポップアップ形式でダイレクトに尋ねる予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は予備調査を行う予定であったが、研究コンサルテーションを受ける中で、当初想定していた範囲よりも多くの先行研究を参照する必要性があることに気づいた。また、本調査を委託する予定だった調査会社の内部審査が最終的に通らず、別の調査会社を探す必要性があった。そのため、予備調査の委託費として計上していた予算が次年度使用額となっている。
予備調査に関しては、委託できる調査会社を確保し、茨城キリスト教大学倫理審査委員会に倫理審査を申請し承認を得ている。繰り越した研究費は予備調査費として、次年度に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)