2021 Fiscal Year Research-status Report
図形の一筆描き動作の文化的変異とその発現機序の解明:日台越仏の比較による分析
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21K03005
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
田口 雅徳 獨協大学, 国際教養学部, 教授 (00360313)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 描線動作 / 比較文化 / ベトナム / 日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでに得られた日本人大学生とベトナム人留学生を対象とした描線動作に関する予備研究のデータを再分析するとともに、今後の実験実施およびデータ収集に向けて研究協力者と実験の実施方法などについて検討をおこなった。次年度以降では、これらの結果を踏まえて実験の実施およびデータの収集をおこなっていく予定である。 ところで、ベトナムは中華文明の影響を強く受けきてており、19世紀終わりごろまでは漢字由来の文字(チュノム)が使用されていたとされる。しかし、19世紀にはフランス領となりローマ字(ラテン文字)が広く利用されることとなった。こうした歴史・文化的背景を持つベトナム人の描線動作の特徴を明らかにし、書字動作と描線動作との関連を検討することを本年度の研究目的の1つとした。 そこで、上述したように、日本人学生とベトナム人留学生各々5名を対象として円や三角形などの図形の一筆描き動作に関するデータを予備研究として収集しており、それらのデータについて本年度では詳細な分析をおこなった。結果として、ベトナム人学生の描線動作は、日本人学生の描線動作と一部で類似していたが、いっぽうで、ドイツなどのラテン文字圏の描線動作とも類似している部分もみられた。これらの研究成果については、後述の雑誌論文にまとめられ公表されている。 次年度以降では、データ数をさらに増やし、これらの結果についてさらに検証をおこなっていく予定である。ベトナム人学生に対しては、おもにオンラインで実験を実施し、データ収集を進めていく計画である。データ収集に向けて、すでに研究協力者とも検討を重ねており、今後、実験を実施を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症の世界的な流行にともなって、台湾、ベトナム、フランスなど海外への渡航の目途が立たず、海外の研究協力者との実験実施に向けた検討が不十分である。そのため、次年度以降も当該地域に渡航しての実験実施およびデータ収集は実現の可能性が低いとおもわれる。そこで、今後は、オンラインでの実験なども計画し、実施していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、現在、海外渡航が難しい状況にあり、そうした状況は今後も継続することが予想される。本研究では台湾、ベトナム、フランスなどで実験およびデータの収集を実施する予定であったが、現地に赴くのが難しいため、オンラインで実験を実施し、データを収集していくことを計画している。また、人件費を活用して現地の研究協力者に実験の実施を依頼し、データ収集を進めていくことも検討中である。 日本人のデータ数も充分には収集できていないため、日本国内におけるデータ収集も引き続き実施していく予定である。日本国内におけるデータの収集に関しては、感染状況を鑑みながら、対面形式で個別に実験を実施していく予定である。これまで実験実施にあたって協力してくれた実績のある教育機関等を中心に実験協力の依頼をおこなっていく。
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Causes of Carryover |
当該年度では実験実施およびデータ収集に伴う旅費や人件費、また実験用の機器を購入するための備品費などを予算として請求していた。ただし、それらの予算の大半が使用できなかった。新型コロナ感染症の世界的流行に伴って、国内外での実験実施の目途が立たなかったからである。今後はオンラインでの実験実施およびデータ収集を検討する。オンラインでの実験実施に当たっては必要な機器をそろえる必要があり、予算請求していた備品費の使用を計画している。国内でのデータ収集は対面で実施していく予定であり、旅費を使用する。これらの実験を実施する際には、補助員等が必要であり、そのため謝金として人件費を使用する計画である。 研究に関わる最新の情報を得るとともに、これまでに得られた研究成果を学会等で発表するため、次年度以降では学会参加のため旅費を使用していく予定である。
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