2021 Fiscal Year Research-status Report
SNSに起因するいじめの防止‐傍観抑制とアサーションの学習プログラム開発
Project/Area Number |
21K03006
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
中村 玲子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 准教授 (60750635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 弥生 法政大学, 文学部, 教授 (00210956)
越川 房子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80234748)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | いじめ / アサーション・スキル / ロールプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では中学生を対象にSNS上での友人とのトラブルに起因するいじめを主な題材として,アサーション・スキルの獲得によりいじめの抑止を目指す心理教育的プログラムを開発し,その効果を検討することを目的としている。当初の予定では傍観行動の抑制のためのアサーション・スキルを学習するプログラムを開発する計画であったが,本年度は研究協力校の希望を踏まえ,深刻ないじめにつながらないようにするためのアサーション・スキルの学習を中心的な内容とした。 プログラムは神奈川県内のA中学校において,2021年度の1年生及び3年生を対象に学級単位で,1回50分の学級活動の時間に行われた。プログラムは臨床心理学の専門家がサポートし,教員が実施した。内容は,①アサーション・スキルの学習,②SNSの使用に起因するトラブル場面の提示,③いじめという方法は許されないと伝える心理教育の3点を含んだ。具体的には,SNSでのやり取りから生じた誤解からトラブルとなった事例について,いじめにつながらないようにするにはどのようなコミュニケーションが必要か参加生徒に考え,ロールプレイを用いて学習してもらうものであった。 実施前後の査定は,回答しなくても不利益がないことを説明した上で行った。効果測定のための質問紙は,①藤本・大坊(2007)を参考に作成したアサーション・スキル使用に対する自己効力感(5件法),②いじめ否定の規範意識(7件法)(大西・吉田,2010を改変),③いじめ加害傾向(4件法)(中村・越川,2014)等から構成された。いじめ加害傾向は,抑制が難しいとされる制裁型を採用した。 分析の結果,実施前後で一部のアサーション・スキルに対する自己効力感の増大と,制裁型加害傾向の低下が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では傍観行動の抑制のためのアサーション・スキルを学習するプログラムを開発する計画であった。研究協力校の意向により,深刻ないじめにつながらないようにするためのアサーション・スキルの学習が中心的な内容となったが,その有効性が一部確認された。 また2022年度には,予備的研究の学会発表や当初の計画通りの研究実施を予定しているため,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度以降も,4校の研究協力校においていじめ防止を目的とした同様の研究(プログラム)実施が予定されている。いずれも協力校の状況や希望を踏まえてプログラム内容が決定されるが,本研究への協力を引き続き依頼していく。 また2021年度の実践についての学会発表を予定している。
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Causes of Carryover |
期限内の申請に間に合わなかったため,本年度にかかる研究費用は科研費より支出しなかった。 次年度以降も協力校での実践や研究成果の公表が予定されているため,それらに使用予定である。
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