2021 Fiscal Year Research-status Report
言語活動における認知プロセスの検討と実践への適用に関する研究
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21K03009
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
伊藤 貴昭 明治大学, 文学部, 専任准教授 (20550445)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 説明 / モニタリング / 自己評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,説明活動の認知プロセスに基づき,説明者および聞き手のモニタリングの特徴,既有知識の違いが与える影響,そして実践での検討である。 2021年度の研究では,理解を確認するために行う説明活動に焦点を当て,説明者および聞き手に及ぼす影響を検討した。大学生を対象にオンライン上でペアを組み,説明活動を実施したところ,説明者については,先行研究でも指摘されている理解に寄与するとされる発言(意味や解釈を追加するような発言)が多いほど,事後テストの特典も高いということが示された。また,モニタリングの指標として理解状況についての自己評価を説明活動の前後で行わせたところ,説明者と聞き手では自己評価の変化に違いがあることも示された。本研究の結果は,教室で行われることの多い理解を確認するための説明活動を導入する上で,どのような留意点があるのかを示唆している。なお,本研究ではオンライン上で実験を実施したため,直接参加者と対面しない状況ですべての作業を完了できた。今後研究を円滑に遂行していく上で,こうした方法によって一つの研究が完了できたこと自体に意義があったと考えている。 また,幾何学的な図形を用いた新たな課題を利用し,説明者のモニタリングの正確性についても検討を行った。大学生を対象に,指定された図形を伝達するという課題を実施したところ,説明者が予測する正答数がそれほど高くないことも示された。つまり,説明者が自分の作成した説明がどの程度伝わるかといった点についてのモニタリングの正確性もそれほど高くないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は,本研究の目的の1つ目,説明者および聞き手のモニタリングに着目した検討を実施し,ある程度の成果も得られている。そのうち一部については,学術雑誌に掲載が決定しており,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
説明活動を対象にした研究は,参加者に説明活動に取り組んでもらう必要があり,参加者募集が障壁となることが多い。したがって,今後は,インターネットを活用したオンライン実験も柔軟に取り入れつつ,参加者集めについてもインターネットを利用した募集方法を積極的に活用していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため,対面で実験をするのではなく,オンライン上で実験をすることになった。そのため,実験補助員等の雇用をするのではなく,基本的には筆者が担当する形に変更となったため,人件費が抑制されることになった。今後対面で実施することになった場合には,補助員の雇用のために使用していく予定である。 また,オンラインでの実験も継続していく予定だが,対面での実施と比べ,大規模なデータを取得できる可能性がある。それらを分析するため,説明文のテープ起こし費用等が多くかかる可能性も予想されるため,その費用にも充当したい。
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Research Products
(3 results)