2021 Fiscal Year Research-status Report
Child Development as Co-construction of Meaning in Domestic-Longitudinal and Intercultural Processes
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21K03010
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
岡本 依子 立正大学, 社会福祉学部, 教授 (00315730)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 親子関係 / ECEC / 縦断研究 / 横断研究 / 意味づけ / 見守り保育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会文化的に埋め込まれた発達(Valsiner,2000; Rogoff,2003など)を文化化と捉え、子どもの発達を家族(国内縦断的な視点)や文化(文化横断的な視点)における意味付けの共同構築プロセスとして検討する。 まず国内縦断的視点からの課題遂行に関しては、家族内での生涯発達的な視点からの、とくに親による子育てテーマの推移について検討を試みた。すでに得られている縦断データのうち育児日記に関して、データの選定および入力作業を精力的に行った。育児日記とは、調査対象者である親の日記を書き続ける調査参加意欲に支えられていることから、そもそもデータとしての統制には限界がある。しかし、複数の調査対象者が書いた日記を精査したうえで、とくに、第1子誕生後から第3子の高校卒業までの長期間にわたって日記を書き続け中断も少なく、子育てのテーマの推移について十分検討できるケースを見出した。このケースについては十分ケーススタディにも耐えられると判断し、入力作業を進めている。 また、文化横断的な視点からの課題遂行については、コロナ禍で渡航しての現地調査はできなかった。そこでメール等を用いて日本およびノルウェーの保育・幼児教育(ECEC)の見守りについての概念の整理や、ECEC実践についてのケース検討を行った。見守り保育とは、日本では日常語の延長としての側面を持ちつつ、ECECにおいて子どもの主体性を重視するために用いられてきた用語である。一方、ノルウェーのECECではフレーベルの考え方が定着しており、子どもの主体性という点で日本の見守り保育との共通点を明らかにするため、文献の精査等、相互に検討した。また、それぞれの国から2ケースずつを対象として、類似点および相違点についてケース検討を行った。現在、国際ジャーナルに投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は、コロナ禍の影響で、課題推進に困難があった。とくに、文化横断的な研究では渡航してのフィールド調査が実現できなかなっただけでなく、海外の共同研究者の研究環境にも困難さがあり、ノルウェーの共同研究者とメール等で文献に関する情報交換や議論、ケース検討に留まった。今後については、ノルウェーへの渡航とECECでの現地調査を予定しており、双方の国でコロナの状況が許せば、観察の内諾が得られている。 国内縦断データについては、育児日記のデータが膨大であり、テキスト化を進めているが、アルバイトの作業時間を増やすか、人数を追加したいと感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は文献を精査したり、データ入力に時間を割いてきた。また、国際ジャーナルへの投稿も行ってきた。今年度についても、引き続き、国内縦断データの分析と文化横断的な調査の実施を目指す。具体的には、国内縦断データについては、育児日記の分析によって子育てのテーマの変遷を検討することによって、子どものいる家族のライフコースを俯瞰するモデル構築を目指す。テキストマイニングを用いて、子どもの年齢と頻出語の関連を探り、子どもの年齢区分ごとの共起ネットワークや双対尺度法によって、主要テーマを探る。また、親の子ども観についてのSCTデータについても、長期縦断データの分析を進めることで、親の子ども観がどのように変化するかを検討する。 文化横断的研究については、コロナの状況が世界的に多少とも落ち着くと予想し、ノルウェーのECEC実践の観察を計画している。なお、コロナの影響によってデンマーク・コペンハーゲン大学の研究協力者が異動になり、中国上海・華東師範学校の共同研究者は研究遂行が難しい事態が続いているので、まずはノルウェーと日本の共同研究を再開したい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響を受けて、国際調査の実施や国際学会への参加を断念した。これについては、次年度、コロナの状況が許せば実施したい。
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Research Products
(1 results)