2021 Fiscal Year Research-status Report
超高齢多死社会における絆と死生観-高齢期の死への態度についての実証研究と理論検討
Project/Area Number |
21K03012
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
川島 大輔 中京大学, 心理学部, 教授 (50455416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 恵 (有田恵) 大阪医科薬科大学, 中山国際医学医療交流センター, 講師 (40467402)
渡邉 照美 佛教大学, 教育学部, 准教授 (60441466)
浦田 悠 大阪大学, 全学教育推進機構, 特任講師(常勤) (90553834)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 死生観 / 関係性 / 絆 / 高齢期 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会となり、多死社会の到来が目前に迫った日本では、孤独死や死後の無縁化など、様々な社会的問題が生じている。その中で、近しい人の死や自分自身の死と向き合いながら人々が生きることを支えるには、「関係性=絆」に基づく死生観が重要な役割を果たす。しかし既存の学知では、現代社会の多様な死生への向き合いを捉えることは難しい。そこで本研究ではこの問題への解決の糸口を見つけるべく、関係性に着目した新たな死への態度尺度を作成すること、そして高齢期および他の発達段階への大規模調査を実施することで従来の研究知見を再検証すること、そして高齢者への支援方策に資する新しい理論的枠組みを提案することを目的としている。 2021年度には次の研究を実施した。①関係性における死への態度尺度(Death Attitudes in Relationships Scale: DARS)の改訂版を作成するため、専門家らによる複数の協議を踏まえて、新たな尺度項目の作成を行なった。また尺度項目を含む、調査票を作成した上で、倫理審査の承認を得て、調査実施の準備が整った。②新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて、中高年へのモニター調査をまず実施し尺度開発を行い、当初予定していた地域在住の高齢者への調査はモニター調査の実施後に行う計画に変更したが、調査票を再検討する過程で、死別後の故人との絆を測定する尺度を新たに開発する必要性が浮き彫りとなった。ここから、新たな計画としてこれを加え、故人との絆を測定する国内外の尺度のレビューとオリジナル項目の検討を実施した。③死生観尺度についてのレビュー論文の執筆を行い、死生学の専門誌への投稿準備を進めている。④死生観についての著名な理論の一つである、存在脅威管理理論について、専門家を招いた講演会を企画実施し、その理解を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染状況を踏まえた研究計画の大幅な見直し、すなわち中高年へのモニター調査をまず実施し尺度開発を行い、また同時に、従来の研究知見(例えば、死の不安の低さが自我統合と関わる一方で、自殺リスクを高める危険性も指摘されている点)について再検証を行うための変数を測定することとなった。当初計画よりも調査準備に時間を要したため、実施開始時期を遅らせた。他方で、死別経験に関する新たな尺度開発やレビュー論文の執筆を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
中高年へのモニター調査を実施し、関係性における死への態度尺度(DARS)改訂版の妥当性と信頼性を検討する。同時に、分析結果に基づき、従来の知見の再吟味も行う。また新たな継続する絆の尺度を開発する。さらに地域在住の高齢者への調査を実施し、尺度の適応可能性の確認、エンド・オブ・ライフへの態度や死別経験との関連についても検討する。
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Causes of Carryover |
調査計画の変更に伴い、2021年度では当初予定していた質問紙調査を実施せず、文献調査と尺度項目の吟味を中心に行なったため次年度使用額が生じた。2022年度に質問紙調査を実施する際、当該年度分請求助成額と合わせて執行する。
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Research Products
(5 results)