2021 Fiscal Year Research-status Report
幼児期の数量概念の発達:数量活動と手指の接点に着目して
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21K03021
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
浅川 淳司 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (00710906)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数量活動 / 身体性 / 幼児期 |
Outline of Annual Research Achievements |
数量概念の発達は,就学前から始まり,幼児期に大きく変化する。乳児は,3つまでの数を弁別するオブジェクトファイルシステムと,1:2の比率以上の量を弁別するアナログマグニチュードシステムを持って生まれてくる。そして,幼児期には,それぞれの生得的なシステムを基盤に,数量概念が2つ形成される。ひとつは数をかぞえるカウンティングスキーマであり,もうひとつは全体量の多少(大小)を正確に判断する全体量スキーマである。これらの数量概念の獲得により,生得的な能力の制約を乗り越えられる。 近年,このような数量概念の発達に,手指が関係していることが実験的な研究結果に基づいて報告されている。例えば,自分の手指の形を正確に認識できている方が,正確に数量の大小を判断できたり,計算が正確であることも示されている(Noel, 2005; Gracia-Bafalluy & Noel, 2008)。また,自分の手指を意図したとおりに動かせる手指が器用な子どもほど,計算の成績が良いことも示されている(浅川 & 杉村, 2009, 2011; Asakawa & Sugimura, 2014; Asakawa, Murakami, & Sugimura, 2019)。 手指と数量は,その発達過程の中で関係が構築されていくと考えられるが,実際の幼児の生活場面に焦点を当て,手指と数量概念の発達の関係を検討した研究は見当たらない。 本年度は,年少児を対象に遊びや日課の中で数量を扱う場面を観察した。その結果,そもそも数量を扱う場面自体が多くはなく,自由遊び場面においては量的な活動が多く,手指との関連付けはあまりみられなかった。積極的に手指で数量を表す場面としては,手遊びの場面で多く観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響もあり,観察開始時期が少し遅くなったが,観察は継続できている。
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度から所属機関を異動したため,研究に協力してくださるフィールドを新たに開拓し,研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で海外出張や国内出張に行けなかったことが主な理由である。今後は,国際学会への参加を計画している。
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