2023 Fiscal Year Research-status Report
利益追求志向性の個人差が認知機能や学習動機づけに及ぼす影響の探究
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21K03027
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
前原 由喜夫 長崎大学, 教育学部, 准教授 (60737279)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 動機づけ / 利他性 / 個人差 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度作成した利他的動機づけと利己的動機づけの個人差を測定する尺度の信頼性と妥当性のさらなる検討を進めるとともに,それらの個人差がそれぞれの動機づけを喚起した認知機能課題のパフォーマンスにどのように影響するかを調べた。作成した尺度の信頼性と妥当性の検証に関しては,新たに150名以上の大学生のデータを取得し,確証的因子分析によってその構造の妥当性を確認した。また動機づけの方向性の個人差が認知機能に与える影響に関しては,言語性ワーキングメモリ課題と空間性ワーキングメモリ課題に,それぞれの動機づけ(利他的/利己的)およびその価値(低/高)を組み合わせた課題を作成し,その成績を観察した。動機づけの価値をさまざまに変化させて予備的実験を行ったが,動機づけの個人差が予期したようなパフォーマンスの差に直結することはなかった。例えば,利他的動機づけが非常に高く利己的動機づけが平均的な参加者は,利他的課題では高価値のときに課題成績が有意に高まるが,利己的課題ではそのような効果はみられない,といった結果は観察されなかった。そのため,課題の構成に関してはその価値の強度の設定の仕方などを再検討しなければならないと思われる。 また,中学生を対象にアンケート調査を行い,英語の学習に対する自律的な動機づけの程度と,英語を習得して「国際的な問題を解決する仕事をしたい」といった,利他的な目標に関する項目の評定点が有意な正の相関を示した。これは,自分の取り組んでいる学習に関して利他的な目標を持つことが,自律的な学習動機づけとポジティブに関係することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教員人事が不調に終わり,当該年度の受け持ち授業数が2倍になったため,研究に従事する時間が確保できなかった。また7月から12月までの約半年間,妻が体を壊してしまい,育児と看護に時間を奪われてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
利他的/利己的動機づけを組み合わせた認知課題の改良を試みる。また,利他的/利己的動機づけの個人差によって,学習意欲を喚起するための介入の仕方に違いがあるかどうかを検証するための準備を進める。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れており,計画通りの支出ができないでいた。研究期間の延長を申請し,次年度が最終年度となる。実験協力者への謝金や学会旅費などで計画的に使用する予定である。
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