2021 Fiscal Year Research-status Report
潜在的なトラウマ体験を持つ親に対するTICを応用した支援プログラムの開発
Project/Area Number |
21K03044
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
板倉 憲政 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (20708383)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狐塚 貴博 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (00739526)
森川 夏乃 愛知県立大学, 教育福祉学部, 講師 (70757252)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | トラウマ / 親(保護者) / 子育て困難感 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究では,養育スタイルを媒介変数として設定し,親の逆境的小児期体験が養育スタイルを介して子どもの問題行動の形成に与える影響過程について検討を行った。 インターネット調査会社を通して,2~4歳の子どもを持つ母親約1000名を対象にインターネットによる質問紙調査を実施した。 ACE合計得点,養育スタイル尺度の下位尺度因子,子どもの強さと困難さアンケート(SDQ)の下位尺度因子との間のPeasonの相関係数を算出した。その結果,ACEとは養育スタイルの「相談・つきそい」「叱責」「育てにくさ」,SDQすべての因子との相関が見られた。また,ACE合計得点が,養育スタイルの下位尺度因子を介してSDQの下位尺度因子を説明しているモデルを想定し,相関分析の結果を踏まえてパス解析を行った結果,ACE合計得点から養育スタイルの「相談・つきそい」「叱責」「育てにくさ」それぞれ有意な影響を与え,養育スタイルを介して子どもの困難さに繋がるといったモデルが示された。 以上のことから,我が国においても子どもの問題行動の背景として母親の逆境的小児期体験があることが示された。子育てに困難を抱えている母親に対して,トラウマケアを行うことの必要性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度はコロナ禍が継続しているため、研究代表者および共同研究グループメンバーのいずれも本務である大学や福祉施設等において、感染対策に追われることとなった。従って,通常のインタビュー調査などを実施することが困難であったことから,データ収集の方法を変更せざるを得ない状況となった。以上により、当初の想定のような進捗には及ばす,これまでの成果を論文等にまとめるという段階には至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在の研究成果を論文にまとめることに加え,既に得られているデータのうち,まだ分析していない部分があり,それについて分析・検討を継続する。以上のような成果を踏まえ,子育て困難感を抱える保護者のトラウマインフォームド・ケア(以下:TIC)に役立つ知見を集約する。そのことを通して,親の潜在的なトラウマにより生じる子育て困難感や子どもの問題行動の軽減を目指した新たな支援プログラムの指針とする。
|
Causes of Carryover |
2021年度はコロナ禍の影響を受けたこともあり,研究代表者および共同研究グループメンバーの間で直接的な旅費を用いた会合ではなく,ZOOMを用いた会合を実施した。そのため予定と異なる使用用途となったため,使用計画に変更が生じてしまった。
|
Research Products
(2 results)