2021 Fiscal Year Research-status Report
反芻焦点化認知行動療法の治療者マニュアルの開発と実施可能性の検討
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21K03054
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 健徳 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (30861562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅垣 佑介 奈良女子大学, 生活環境科学系, 講師 (00736902)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知行動療法 / 反芻焦点化認知行動療法 / 治療者マニュアル / うつ病 / 治療抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
残遺性うつ病の維持要因である反芻を標的とした新規認知行動療法プログラムである反芻焦点化認知行動療法(rumination-focused CBT: RF-CBT)を、わが国での臨床実践に用いられるRFCBT治療者マニュアル作成に取り組んだ。具体的にはRF-CBT開発者であるWatkins教授によるRF-CBT治療プロトコールや、Watkins教授の講義・ワークショップの記録をもとに、RF-CBT治療者マニュアルの全体構成を決定した。構成内容として、第1部としてRF-CBTの概説・基本原理、機能分析総論、治療セッションの進め方、第2部としてRF-CBTのアセスメント・心理教育・機能分析各論、代替行動(If-Thenプラン)、第3部としてWhy-How行動実験、没頭体験 (Absorption)、コンパッション (Compassion)、治療終結と再発予防、を含む3部構成とした。マニュアルの内容解説に用いるため、本研究グループでWatkins教授らのスーパーバイズを受けてRF-CBTを実践した事例をもとにしたモデルケースを作成した。 現在、当研究グループではWatkins教授によるRF-CBT治療プロトコールの翻訳作業が同時に進行中である。RF-CBT治療者マニュアルは、開発者の治療プロトコールを理論的基盤としながらも、事例の解説もふくめてより臨床的、実践的な内容として反映させていく。 R3年度は、実施中の臨床試験で用いられるRF-CBT治療者マニュアルの素案作成が進められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では初年度は、RF-CBT開発者のWatkins教授の講義・ワークショップの記録をもとに、RF-CBT治療者マニュアルの素案、全体構成を決定する予定であった。一方、現在は当研究グループではWatkins教授によるRF-CBT治療プロトコールの翻訳作業を進めている。RF-CBTの理論的根拠をなす開発者の治療プロトコールの翻訳を完了後、RF-CBT治療者マニュアルの具体的な内容を決定するほうが、成書と本マニュアルとの関連性が明らかにでき、より実践的、具体的なマニュアルの作成につながると判断したので、令和3年度は全体構成および事例の選択までの作業とした。コロナ禍や上述の治療プロトコール翻訳作業もあり、今年度は研究発表や論文執筆を行わなかったが、毎月1回のRF-CBT研究会を定期的に実施し、本研究の進捗の管理をした。令和4年度より具体的なマニュアル内容執筆に入る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はWatkins教授によるプロトコールの翻訳作業を完遂、出版し、本書の内容を理論的根拠として参照しながら、令和3年度に作成した全体構成に基づいて、RF-CBT治療者マニュアルを完成させる。その後は、本マニュアルを用いて、研究代表者と研究分担者が原著者からスーパービジョンを受けながら、実際の RF-CBT臨床を行い、アウトカムを測定し、マニュアルをブラッシュアップする。最終的には英国で開発されたRF-CBT を、我が国の医療制度や文化に見合うように内容を検討し、我が国での実施可能性を確立して治療者マニュアルを完成させる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行により、対面での研究打合せがキャンセル・延期となったので、当該年度は旅費が不要になった。感染状況を見ながら翌年度以降に執行予定である。 コーディネーター1名分の人件費を計上していたが、全体構成の検討および開発者の治療プロトコールに注力したので当該年度では雇用せず、治療者マニュアルの具体的な内容執筆および編集に入る翌年度からの雇用予定となっている。
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