2021 Fiscal Year Research-status Report
大学生が「Withコロナ」時代を柔軟に生きるためのストレスモデル構築の縦断的研究
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21K03065
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
野田 哲朗 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (00769979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永浦 拡 神戸医療福祉大学, 人間社会学部, 准教授 (10836224)
堤 俊彦 大阪人間科学大学, 心理学部, 教授 (20259500)
藤田 益伸 神戸医療福祉大学, 人間社会学部, 准教授 (90537797)
大野 太郎 大阪人間科学大学, 人間科学部, 教授 (40368410)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | COVID-19 / 学生 / メンタルヘルス / PTSD / 緊急事態宣言 / ゲーム / SNS |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年当初より、COVID-19パンデミックの脅威に日本はさらされている。これまで緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が発令され、大学キャンパスの閉鎖、オンライン授業となり学生の孤立化、メンタルヘルスの悪化が危惧されてきた。 第3回緊急事態宣言(2021年4月23日~6月20日)後の7月中旬に近畿圏内の3大学(国立1校、私立2校)に在籍する大学生、大学院生を対象にCOVID-19パンデミックがメンタルヘルスに及ぼす影響、嗜癖行動を含む生活習慣や環境変化がメンタルヘルスに及ぼす影響を明らかにすることを目的として調査を行った。その結果、配布数2356のうち、702名から調査協力を得られ、回答率は29.8%だった。うつ不安障害スクリーニングテストK6得点でうつ不安障害の疑いが約55%となり、重篤が疑われる対象者が18%となった。学年・所属では社会人経験のある大学院生がそれ以外の学生と比較してK6得点、PTSDスクリーニングテストIES-R得点が有意に低いことが明らかとなった。居住環境では、一人暮らしの学生のK6得点、IES-R得点が有意に高く、心理的なストレスを感じていることが明らかになった。生活習慣では、ゲームの時間、SNSの利用時間、動画の視聴時間が増加した人と減少した人のどちらもK6得点とIES-R得点が有意に高いことが明らかになった。また、読書は他と異なり、時間が増加してもK6得点に影響を与えないことが明らかとなった。2項ロジスティック回帰分析の結果、PTSDに強い影響を与えるのは大学、SNSの利用時間、読書の時間、家族の感染状況、K6得点であることが明らかになった。 以上のことより、COVID-19パンデミックにより学生のメンタルヘルスは悪化し、生活習慣の変化もメンタルヘルスの悪化に影響していることがわかり、メンタルヘルス悪化予防策を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19パンデミックが学生のメンタルヘルスに及ぼす影響の調査を遂行し、分析をすすめ、悪化のリスクファクターが明らかにすることができて、対応策の提言を大学で行い、学会、論文発表も行っている。また、学生を集めて座談会を開き、COVID-19パンデミックの学生への影響を直に聞くことを行い知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き学生のメンタルヘルスの調査を行っていく。さらに全国の大学生、大学院生を対象にこれまでの知見を基にし、あらたな質問項目を入れて調査を行っていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19パンデミックのため研究の遂行が十分にできなかったこと、移動がままならず、出張ができなかったため旅費の執行ができなかったこと、などにより次年度使用額が生じた。次年度は、本格的な研究に取り組む予定。
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