2022 Fiscal Year Research-status Report
対人関係における援助の要請と援助の提供のバランスを形成するメカニズムの検討
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21K03076
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
永井 智 立正大学, 心理学部, 教授 (20513170)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 援助要請 / 援助行動 / 性差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、援助の提供と援助の受領のバランスの背景にあるメカニズムを解明することであった。2022年度は、共通要因を探るために、まず援助要請の関連要因を精査することを目的とし、文献レビューおよび基礎的な調査を行った。 まず、援助要請の関連要因について系統的なレビューを行い、援助要請の精査、関連要因について検討した。 まず、援助要請の精査についてメタ分析を行った。性差については関連する研究から非公表データも収集した。その結果、援助要請意図および援助要請態度ともに女性の方が得点が高いことが明らかになった。 続いて国内の文献から援助要請の関連要因について明らかにし、「問題の深刻さ・症状」「ソーシャルサポート」「過去の援助要請経験」「自尊感情」との関連を検討した。その結果、悩みやソーシャルサポート、過去の援助要請経験は援助要請意図と関連するが、自尊感情は関連しないこと、援助要請態度は諸変数と明確な関連がないことなどが示された。また、関連要因の中でも援助要請の利益・コストとの関連を扱う研究についてもレビューを行い、利益・コストの諸要因の中でも特に援助要請実行の利益の予期が援助要請と関連することが明らかになった。 最後に、この利益・コストについて従来中学生や大学生における友人への援助要請との関連検討が中心であったため、対象を拡大し検討を行った。その結果、高校生においても、また援助要請を友人に限定しない場合でも、やはり援助要請実行の利益が援助要請を促進する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初と研究実施の順番を変更し、一部の研究内容を先送りしたが、逆に研究レビューなど別の研究を先取りしており、全体としてはおおむね順調通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
全体としては概ね順調なペースで研究は進行しており、引き続き予定通り研究を遂行していく。
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Causes of Carryover |
研究の実施順番を変更し、本年度は研究内容は文献展望を中心としたため、費用が当初より少ない金額に収まっている。全体の研究実施状況自体は順調であり、今後予定通りの執行を行う予定である。
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