2021 Fiscal Year Research-status Report
A Longitudinal Study of Factors Contributing to the Maintenance of Mental Health and Employment during the Four Years after Graduation from Universities and Junior Colleges
Project/Area Number |
21K03096
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Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
前川 浩子 金沢学院大学, 文学部, 教授 (10434474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大上 真礼 金沢学院大学, 文学部, 講師 (90807132)
小里 千寿 金沢学院短期大学, 現代教養学科, 教授 (30805966)
室橋 弘人 金沢学院大学, 文学部, 准教授 (20409585)
中村 晋也 金沢学院大学, 文学部, 准教授 (10301003)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | メンタルヘルス / 就労継続 / キャリア教育 / 縦断研究 / 効力期待 / 対人関係 / 楽観性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、労働者のストレスやメンタルヘルスの問題が個人のウェル・ビーイングと社会的損失の観点から重要な課題となっていることを背景としている。とりわけ、「3年以内離職」も近年では課題となっている。しかしながら、新卒者が健康を維持し、3年間働き続けることを可能にする要因は明らかになっていない。 以上のことから、本研究では大学・短大の新卒者が入職というライフイベントを経て、メンタルヘルスを維持しながら少なくとも3年間働き続けるための要因を明らかにすることを目的としている。 具体的には4年間縦断研究を行い、定量的・定性的データの両方から収集する。当初の計画では2021年度に大学・短大を卒業する者を研究対象者としてリクルートし、卒業前の時点の調査を実施する予定であった。しかしながら、対象としていたコホートはキャリア形成において新型コロナウィルスの影響を受けていたことを鑑み、2021年度卒業生を対象とすることは難しいと判断し調査を実施実施を断念した。 その代わりとして、2022年度の調査実施に向け、調査項目の設計のための文献研究や、大学生・短大生を対象とした横断的な実証研究を行った。横断的な研究では、大学生・短大生が、卒業後、就職先で適応できそうか、という効力期待(将来への前向きな見通し)が何によって予測されるかについて共分散構造分析を行った。その結果、就職先でうまくやっていけるだろうという見通しを予測したのは、パーソナリティ特性の楽観性および大学・短大時代に、安定した友人関係を築けているという感覚であった。この結果から、卒業までに構築した対人関係が将来の前向きな見通しの基盤となる可能性が示され、2022年度に実施する本調査においても、楽観性と対人関係の変数を組み込むことの必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では2021年度に大学・短大を卒業する者を研究対象者としてリクルートし、卒業前の時点の調査を実施する予定であった。しかしながら、結果的に新型コロナウィルスの影響を受け、調査を実施することができなかった。その理由は大きく2つある。一つは、2020年からの新型コロナウィルス感染症が2021年には終息し、大学の教育研究活動がコロナ以前に戻ることを期待していたが、2021年度になっても感染者数は増え、大学では遠隔授業の対応が続き、研究活動が困難であったことである。 そして、もう一つは、コロナが学生生活や学生のキャリア形成、就職活動の準備状況、就職活動影響を及ぼしていたことである。本研究で対象としていた大学生は2018年度入学生であり、大学3年次にコロナが始まった。インターンシップが中止になり、就職活動に向けての準備も先が見えない状況が続き、コロナ以前の学生とは異なっていた。また、短大生にいたっては、2020年度入学生であり、学生生活のすべてがコロナの影響を受けた。これらのことから、 2021年度卒業生を研究対象とすることは難しいと判断し、調査対象を2022年度卒業生(大学2019年度入学生、短大2021年度入学生)とし、調査を一年遅らせることとした。調査開始を遅らせて、研究終了年度を当初の予定の2025年度から2026年度に遅らせることで、当初の計画の縦断研究は実施可能である。 また、調査対象とする2022年度卒業生は、コロナの影響を見据えた早めの就職活動やキャリア形成をキャリア教育授業で促されている学年であることや、インターンシップも再開された学年であるため、本来想定していた調査対象者の属性に近いと考えられる。 以上のことから、当初の計画から調査実施が一年遅れとはなったが、サンプルの代表性の問題等を鑑み、より適切な研究遂行を目指す上ではやむをえない判断であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度卒業予定者を対象に調査実施を行うにあたり、大学4年生、短大2年生の研究参加へのリクルート活動を行う。内々定を獲得する学生が増えてくる6月以降から、就職支援部の職員の協力も得ながらリクルートを行う。 また、2022年度は卒業前の第1時点の調査を行うことから、研究者らで必要な変数について議論を行い、調査票の設計を行う。 第1時点の調査は1月頃から行い、3月の卒業までには必ず回答を得られるようにwebによるアンケート調査とする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、調査を実施することができなかったため。 研究終了年度を1年延ばすので、実質2022年度より調査研究を実施することとなる。
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Research Products
(4 results)