2021 Fiscal Year Research-status Report
Intersectionality of ethnicity, gender and mental health
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21K03097
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鈴木 華子 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (00634627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Rogers Lisa 同志社女子大学, 現代社会学部, 准教授 (40580692)
WILLIAMS Elisabeth.Ann 同志社女子大学, 学芸学部, コントラクトティーチャー (90897977)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多様性 / 社会的属性 / アイデンティティ / マイノリティ / 心身的健康 / 不当な扱い |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、複合的な社会的属性とアイデンティティを捉えるために交差性の理論的枠組みを用いて、在留外国人の精神的健康を検討することを目的としている。社会的属性や社会的アイデンティティの中でもマイノリティ側の人たちは、いまだに日常生活において様々な形の不当な扱いを経験しており、それら差別や排除は心身の健康に大きな影響を及ぼすことが分かっている(Taylor, Kamarck, & Shiffman, 2004; Williams, Yu, & Jackson, 1997)。 そこで、今年度は、日本においてどのような社会的属性やアイデンティティが日常生活の中で不当に扱われる経験と関連し、それらの経験が心身的健康と関連するかを明らかにするため、外国人というカテゴリーに絞らず、日本で暮らす成人を広く対象とし、複数の社会的属性やアイデンティティの交差性に着目することで、日本社会の中でどのような社会的属性やアイデンティティを持つ人が不当な扱いを経験していると感じ、それらの経験と心身的健康が関係しているかを検討するための準備を行った。 まずは、広く文献調査を行ったところ、アメリカにおいて心身的健康の人種差を検討するために開発された質問紙 Everyday Discrimination Scale(Williams et al, 1997)が、他言語に翻訳されて使われていることがわかった。Everyday Discrimination Scaleは、回答者が経験したことのある不当な扱いについてその頻度を回答し、自身のどのアイデンティティや社会的属性によって不当な扱いをされたと感じているかを回答できるようになっている。そのため、日本においても特定のアイデンティティや社会的属性に付随する不当な扱いを調査するのに適していると思われたため、Williams氏の許可を得て、日本で使えるよう翻訳を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は初年度内に在日外国人を対象とした量的データを取り終える予定であった。しかしながら、日本において、エスニシティとジェンダーのアイデンティティの交差性と精神的健康を調査する際に、そもそも日本においてどのような社会的属性を持つ人たちが不当な扱いを経験したり、周縁化されているのか、そして、それらの経験がどのように心身の健康に影響を及ぼしているのかを検討した研究がないことにより、まずは広く日本に暮らす人を対象としてデータを収集し、日本社会の現状を把握することが優先であると考えられた。そのため、研究計画に一段階作業を加えるに至ったため、当初の計画よりはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、日本に暮らす人を対象として、日常生活における不当な扱いを受けた経験と社会的属性、そして、それらの心身的健康への影響に関するデータを収集する。これについては、すでに研究倫理委員会から承認を得ている。その後、データの解析を通して日本社会における差別や排除の現状を把握した上で、在留外国人を対象とした調査を開始する。
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Causes of Carryover |
一つ目は、交差性に関する理論や研究発表が多くなされる海外の学会に参加し情報収集を行う予定であったが、コロナ感染拡大によりオンライン開催となったため、旅費がかからなかったためである。二つ目は、研究計画に微修正を加えたため、予定していた謝金が発生しなかったためである。翌年度の使用計画としては、海外では学会の対面開催が始まっているため、それらに参加し、効果的に情報収集を行う予定である。そして、対象を当初の予定よりも広めた調査研究を進めるために大規模なデータ収集を行うため、謝金が発生する予定である。
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